「すばらしい失敗」株式会社ニコリインタビュー

著者は語る

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二コリ社長の安福良直さん ©文藝春秋

「the ʻGodfather of Sudokuʼ Is Dead(「数独の父」死去)」――。2021年8月17日、「ニューヨーク・タイムズ」に“ある男”の訃報が載った。名前は鍜治真起。パズル業界の伝説の人物だ。世界120か国以上で愛好される「数独」ブームの立役者にして、パズル専門誌を発行する「ニコリ」の創業者でもある。

 本書『すばらしい失敗』は、鍜治さんの破天荒な人生を余すところなく描き出している。「ニコリ」編だが、代表して社長の安福良直さんに話を聞いた。

「訃報が出ると、世界中のメディアから取材依頼があって、夜も寝られないほどでした。鍜治はいつも外を出歩いて、会社には週に1回顔を出せばいいくらい。どこで何をしているのか不思議に思っていました。でも今回、改めて、偉大さを知りましたね。ご家族や仕事仲間、学生時代の同級生など、30人近くの方々に鍜治との思い出を聞いて、生きた記録を残さないといけないと思ったんです」

 末期がんでも酒を飲み、煙草を吸う。大のギャンブル好きで「俺の生涯納税額は、国内屈指だ」と豪語。ゴルフには必ず遅刻し、社名の由来である競走馬「ニコリ」に会うために南米ウルグアイまでひとっ飛び。「天性の人たらし」「遊ぶように仕事する」と評された鍜治さん。

 

二コリ編「すばらしい失敗」ニコリ 1980円(税込)

 だが一方で、安福さんは「鍜治は悩みをほとんど話さなかった」と語る。

「この本では、鍜治が、幼馴染と3人だけで広さ10坪、家賃7万円の小さな事務所を構えたニコリ創業時代から、2005年以降、数独が世界的な大ブームを巻き起こすまでの華やかな発展の歴史も描いています。ただ、その陰では出版不況で資金繰りに1人奔走し、友人たちから莫大な借金をして、深刻に悩んでいたことは知りませんでした。今回の取材でそれが明らかになり、一番驚きました」

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source : 文藝春秋 2022年12月号

genre : エンタメ 読書