これから日本はかつて経験したことのないほど急激な人口減少の時代に入る。
その影響は、過疎に悩む地域はもちろん、
東京、大阪、名古屋といった大都市圏さえもまぬがれない。
人口予測をもとに2040年の「危機」を徹底取材
「今年中に富士山が爆発する」「明日にも南海トラフ地震が発生する」というような流言蜚語に、耳を貸す必要はない。しかし、「今後三〇年の間には、富士山が噴火してもおかしくないし、南海トラフ地震も起きるだろう」という予測には、過去の災害の歴史に照らして根拠がある。このように三〇年という長い時間で将来を考えると、予測できることが逆に増えていく。
足元の日本では、アベノミクスがどうなるのか、世界経済はどうなるのかと、先行き不透明な話題が尽きない。そういう中で何かを進めるのは、博打に似ている。当たればいいが、外すリスクも大きい。刹那の興奮の後には、たいていの場合、苦くて長い幻滅の時間が待っている。
だからこそせめて、「今後三〇年の間に確実に起きる」とわかっていることは、きちんと押さえておきたい。もちろんわからないことの方が圧倒的に多いのだが、「三〇年後のあなたは、死んでいなければ、今より三〇歳年を取っています」というように、確言できることもある。「死んでいるか生きているのかわからないのでは意味がない」と言われそうだが、個人ではなく一〇〇人を対象に考えれば、何人が三〇年後までに亡くなるかは、過去の実績からみてほぼ確実に予測できる。あなたが三〇年後にどこに住んでいるかはわからないが、住民が一万人いればそのうち何人が何年以内に引っ越して出て行って、何人が何年以内に引っ越して入ってくるかも、同じく過去のトレンドから見てある程度予測が立つ。
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source : 文藝春秋 2013年07月号