「ゴルゴ13」などのヒット作を生み、劇画の分野を確立させた漫画家、さいとう・たかを(1936〜2021)。手塚治虫氏の葬儀の日からちばてつや氏との交流が深まった。
手塚先生の葬儀が営まれた平成元年の3月2日。先生が60歳の若さで亡くなったことに、僕を含めた漫画家連中は大きなショックを受けていた。そんな時、つのだじろうさんだったか、藤子不二雄Ⓐさんが皆を前にこう提案した。
「締め切りに追われ、机に向かいっぱなしの不健康な漫画家に対する警告だ。手塚先生は『もっと運動した方がいい』とメッセージを送ってくれたんだ。これを機会にみんなでゴルフでもしよう!」
散歩するようにプレーし、足が痛くなったらハーフで切り上げてもいい。月に1回程度、気楽に参加できる「いい加減さ」と、「良いジジイ」の意味で「イージー会」と名付けた。お二人に加えて、石ノ森章太郎さん、古谷三敏さん、北見けんいちさんなどが集まり、30年以上、仲良くプレーしてきた。
この「イージー会」の結成直後、「わしも入れてくれ」と参加してきたのがさいとう・たかをさんだった。
初めて会ったのはお互いデビューしたばかりの1950年代。当時のさいとうさんは、「ゴルゴ13」のデューク東郷のようなスポーツ刈りでサングラス。どこか近づきがたい雰囲気だった。ところが、「イージー会」で一緒にプレーすると、なんとも気さくで、面白い人だと分かった。いつしか2歳上の彼を「たかをちゃん」と呼んでいた。
漫画家として功績の一つが分業制の導入だ。「さいとう・プロダクション」を設立し、ストーリー作り、作画などの作業をスタッフと役割分担し、作品を量産する。この分業制があったからこそ、亡くなった後も「ゴルゴ13」の連載が続いている。常に時代の先を読む漫画家だった。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2023年1月号