経歴自慢、病気自慢、孫自慢……若年者はそれを我慢できない
「高齢者」というと、つい大きな介護を必要とする人を思い浮かべ、施設入居のこと、ケアマネやヘルパーのこと、家族のなすべきことなどを考えてしまう。
だが、社会にはその前段階の高齢者がいる。まだ大きな介護を必要とせず、とりあえず日常生活の多くを自分でこなせる男女だ。病院などに同行してもらうとか、家族の多少のサポートは助かるが、頭も体もピンシャンしている。
人生100年時代になって、こういう高齢者は周囲を見ても増えているように思う。70代はもとより、80代や90代であってもだ。彼ら彼女らは手際は悪くなっても、風呂、トイレからゴミ出しまで、すべて自分でできる。新聞や雑誌を読み、テレビのニュース番組も欠かさない。
私が知る限りでは、その少なからずは、
「お笑い番組はくだらないね」
と言う。そして、プーチンについても円高についても語りたがったりする。
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source : 文藝春秋 2023年1月号