昭和な純喫茶が好きなのですが、先日入ったお店では、フルーツポンチやピラフは勿論のこと、ラーメンあり、カツ丼あり、夜はお酒のアテにうずらの醤油漬けもあれば、モーニングには納豆定食まであるとのこと。でもって、ブームのタピオカにもしっかりアプローチ。……ん? そこで何故か心によぎったのが、「和田弘とマヒナスターズ」のこと。ぼくがかつて、その末端に在籍しました歌謡グループなのですが、そのルーツはハワイアンでありながら、小唄や叙情歌、コミックなんでもござれ。「ムード歌謡」の枠に囚われず、実は大衆と添い寝し続けたエンターティナー集団だったのではと思い直し、片隅の席でそっと胸を張った次第です。そしたら後ろの席の方と頭がぶつかってしまいました、頭がでかくてすみません……。
というわけで頭デッカチにならずに、「昭和歌謡」を、広く“流行歌”と置き換えて、肩肘張らず蜜柑でもむきながら、ひと粒、ふた粒と、こたつの中で思い巡らせてみたいと思います。
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source : 文藝春秋 2023年2月号