評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。
山下泰平『簡易生活のすすめ』(朝日新書)によると明治から大正、昭和初期までに書かれた小説やエッセーには「簡易生活」なる語がしばしば登場するという。ただ「簡易」な「生活」を指すのではない。幸田露伴のような著名人を含む多くの人々がそれを理想の生活法と考え、徳富蘇峰が経営する民友社によって雑誌『簡易生活』も刊行されていた。
簡易生活主義者たちはとにかく「衣食住を簡易に」「交際を単純に」しようとした。欲が色々膨らみそうな近代化初期の日本人がミニマリスト的実践をしていたのを知ると驚かされるが、彼らのライフスタイルには今でも参考にすべき点が多々ある。簡易生活者たちは何でも拒否するわけではなく、自分の生活ぶりを省みて科学的に考え、合理的に無駄を排除しようとした。最新鋭の便利なものは積極的に取り入れたし、なにより簡易生活を目指す試行錯誤を楽しもうとした。
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source : 文藝春秋 2020年6月号