「“すい”し、燃ゆ」を読んで
最初の十数ページは、何が何だかわからなかった。宇佐見りん氏による「推し、燃ゆ」。芥川賞受賞作という事で必死に……意味の分からないまま読んでいく。中盤、定食屋のアルバイト辺りから作品に入り込み、気付けば一気にラストまで。
タイトルの“推し”が“すいし”でなく“おし”と読むことさえ知らなかった。
選者の誰かが言っていたように、綿矢りさ、金原ひとみ両氏登場以来の、若さの割に熟達した文章力! と、衝撃のようなものを感じた。
齢76、初めて読んだ芥川賞作品は昭和35年度下半期、三浦哲郎氏の「忍ぶ川」だった。以来60年、文藝春秋購読とともに、年2回の芥川賞受賞作は欠かすことなく読み続けた。
水上勉、松本清張の絶頂期、作品ゆかりの地を歩いたことも。さらにはフレデリック・フォーサイス、パトリシア・コーンウェル、ローレンス・ブロック等の海外ミステリーも読み漁ってきた。最近では佐々木譲氏の作品も残らず読んでいる。
そして出会った「推し、燃ゆ」。“推し”にのめり込む女子高生の妥協のない徹底性に、いつの間にか共感している自分がいて驚いた。まさに令和の新しい文学の登場! そう言うと、大げさだろうか。(高木薫)
半藤さんを惜しむ
3月号で保阪正康氏の「半藤さんが私たちに残した『宿題』」を拝読した。
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source : 文藝春秋 2021年4月号