カンフル剤たる矢野論文
本誌11月号に寄せられた矢野康治財務事務次官の「財務次官、モノ申す」を読んだ。
バラマキ政策批判の論文だが、本意は財政の健全化にあり、至極まっとうな主張である。
10年ほど前だろうか。ネットで初めて「借金時計」を閲覧し、衝撃を受けたのを思い出す。万の位の数字が目まぐるしく動き、何百兆もの借金がどんどん増えていく。一刻も早く対策を取るべきだと本気で思ったのだ。
だが私が心配するほどには、政治家も財務省も気にしていないようだった。機動的な財政出動とかで、景気対策に湯水のごとく国債を充当した。借金への懸念の声はほとんど聞いた覚えがない。末端の民ひとりが心配することではない、と割り切ることにした。
そこへ矢野氏の論文だ。とうに捨てたと思っていた財政健全化マインドを財務官僚がまだ有していたことに驚き、ホッとした。
近年、MMT(現代貨幣理論)が登場し、国債発行を是認する意見もある。
が、経済に疎い私にはよく分からない。半信半疑の理論に日本の将来を委ねる気にはなれない。
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source : 文藝春秋 2021年12月号