どこを向いて何を書くか──二人の農業記者は自由な狩場を求めた
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東京・秋葉原に本社を置く「日本農業新聞」は、日本唯一の日刊農業専門紙で、JA(農協)グループの機関紙として30万部近い部数を誇っている。
通称「日農(にちのう)」。専門紙といっても、従業員225人を擁し、内閣記者会や農林水産省の農政クラブなど33の記者クラブに記者を送り込む有力紙である。特に農水省では、記者の数でも情報量でも他紙を圧倒する存在だ。
あるとき、農政クラブで「次の首脳人事では無駄な競争を避け、不戦協定を結ぼうではないか」と一般紙記者から談合を求められたことがある。だが、日農の記者は大臣に助言するところまで食い込んでいたので、迎合することなく、いつものように次期事務次官人事の特ダネを書いたという。
その日農の中堅記者が10年ほど前、相次いで会社を辞めた。
それが1980年生まれの千本木啓文(ひろぶみ)であり、2つ年上の窪田新之助だった。いずれも2004年春に日本農業新聞に入社した同期である。
退職後、千本木は経済誌「週刊ダイヤモンド」の記者に就き、窪田は農業ジャーナリストに転身して、それぞれ別の道を歩いているが、日農を飛び出した同期入社組というだけでなく、共通していたことが二人にはある。
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source : 文藝春秋 2023年4月号