「少年A」両親の心を開いた女性記者の夢と欲
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今年の正月を目前に控えた凍寒の夜だった。暴力団捜査を担当した元警視庁刑事たちの小さな忘年会が、東京都心の駅前酒場で開かれていた。
濛々たるタバコの煙である。靄と喧騒の中に、私も身を沈めていた。そんな喫煙居酒屋がサラリーマンで賑わっていることも、かつてのマルボウ刑事たちが定刻の2時間も前から飲み続けていたことも驚きだった。
新型コロナウイルスが依然、収まらないのに、彼らは紫煙のなかで痛飲し、再就職先の居心地や現役時代の武勇伝を、口角泡を飛ばして話し込んでいる。
かつては後輩の現役刑事も交え、大衆中華料理屋などに巨体、屈強、異相の輩が集まって、泣く子も黙る宴会を開いていたのだ。だが、コロナ禍が広がってからはそれもままならず、久しぶりの集まりなのである。
人恋しいのだ。そこに身を置いた私もそうだった。
話題は、彼らが「八王子戦争」と呼ぶ、指定暴力団山口組と二率(にびき)会との抗争事件に始まり、オウム真理教幹部だった村井秀夫刺殺事件に及んでいた。
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source : 文藝春秋 2023年3月号