手練れの業界ウォッチャーが、新聞報道にもの申す!
★スリリングな朝日の審議会
政府であれ会社であれ、内輪でつくる審議会は、お手盛りやガス抜きといった予定調和な代物と決まっている。
ただ、「ニュースは届いているか 朝日新聞あすへの報道審議会」と題された朝日の3月14日朝刊の記事は、意外とスリリングで読みがいはあった。
作家の高村薫さんら3人のパブリックエディター(PE)の退任に合わせ、読者や記者らと意見を交わした、とある。
むろんスリルを生んだのは、以前から注文役を務めたPEや答弁役の記者ではなく、読者代表だった。とりわけ歴史担当の高校教諭の批判が鋭い。「読んでいて気になるのは、批判に走りすぎ、揚げ足取りに思えるときがある点。いいものはいいって言った方がいいのでは」。
世間的には普通の見方とはいえ、朝日にすれば、表舞台で読者から普段の権力報道に対して根源的な疑念を突きつけられた恰好である。思わず、安倍晋三政権時に衆院憲法調査会で自民党が推薦した憲法学者が安保法制を「違憲」と断じて大騒ぎになった一件を思い出した。
ただし、答弁が物足りない。「グサグサ刺さる」としたコンテンツ編成本部の記者も、沖縄問題を例に挙げて「見出しに『沖縄』『辺野古』を入れると、読まれない」との「ジレンマ」を明かす。政治部記者も「ファクト追求や権力監視は第一義だが、政治に関心ある層の期待にこたえる深掘りをし、その外側の層にもファンを広げるため、伝え方も含めて工夫したい」と語る。
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source : 文藝春秋 2023年5月号