CIA長官が語る「中露同盟の限界」

ウィリアム・バーンズ 米中央情報局長官
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「この戦争のカギは今後6カ月の戦場にある」

 ウクライナ戦争、台湾危機において米中央情報局(CIA)長官が果たしている役割は意外に大きいようだ。ウィリアム・バーンズ氏は米国務省の元外交官でロシア大使や国務副長官を務めた後、バイデン政権でCIA長官に就任した。「国務省のエース」の1人として知られ、上院では全会一致で長官就任が承認された。本稿は今年2月2日、ジョージタウン大学で表彰された際の講演抄録である(聞き手は同大学外交研究所所長のバーバラ・ボーダイン氏)。

 Q あなたは長年、ロシアに関わって来られました。これまでの経験はロシアのウクライナ侵攻後、あなたの下してきた決定にどのような影響を与えましたか。

 バーンズ ご覧のように白髪がこのように増えたのは、この20年にわたってプーチン大統領とかかわってきた結果です。私は大使として15年ほど前ロシアにいました。この2年ほどはCIA長官としてプーチンとかかわっています。この20年の間に私たちは、プーチンが怒りと野心と不安の3つが入り混じった、いつ火がついてもおかしくない気持ちの中で揺れ続けているのを目の当たりにしてきました。

バーンズCIA長官  Ⓒ時事通信社

 私から見ると、プーチンの原動力は2つあると思います。1つは90年代のトラブルと屈辱の時代から、ロシアを「大国」として復興させなければならないという信念。2つ目は偉大なるロシアのリーダーとして自分の地位を固める決意。この2つの目標を達成するためにプーチンは2つのことをやってきました。

 1つ目は、ロシア政界のエリートとロシア国民をコントロールすべく弾圧的な独裁体制を確立すること。2つ目はロシアの近隣国、つまり旧ソ連構成国において勢力範囲を復活させることです。

 この20年、ウクライナが紆余曲折を経ながらも、少しずつ民主主義的な制度に向かってきたのをプーチンは見ています。このことを痛感しているのは私が尊敬する、前駐ウクライナ大使マリー・ヨバノビッチで、彼女ほどこのことを理解している人はいません。

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source : 文藝春秋 2023年6月号

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