月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。もはや野党は敵にあらず。安倍にとっての不安要素は“身内”にある。
「ねじれ国会を生み出したのは、この私だ。6年前の参院選での敗北が、すべてのはじまりだった。政治は迷走し、毎年、私も含めて、ころころ総理大臣が代わり、日本の国力が大きく失われた。このねじれに終止符をうたねばならない。その責任が、私にはある」
第183通常国会が閉会した6月28日、首相・安倍晋三は官邸で記者会見し、7月21日投開票の参院選への決意を表明した。
その前哨戦となった6月23日の東京都議選では、安倍内閣の高支持率を反映する形で自民党が全勝し第一党の座を奪回。同じく全勝した公明党と合わせて過半数の64議席を大きく超え、計82議席を得た。
2009年、衆院選直前の都議選で初めて第一党になった民主党はわずか15議席にとどまり、躍進した共産党を下回って第四党に転落した。日本維新の会は共同代表・橋下徹の「従軍慰安婦発言」により失速。34人を擁立した都議選で2議席しか獲得できなかった。
自民・公明連立政権に取って代わる民意の「受け皿」がなく、自民党の参院選勝利を疑う声はない。
むしろ安倍の不安の種は野党勢力ではなく、市場の評価にある。
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source : 文藝春秋 2013年8月号