月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。憲法学者の違憲発言、支持議員の暴言。プロの手借りぬ国会対策は緩みきった
「好事、魔多し」「政界、一寸先は闇」。それは得てして、宰相の得意分野にあらわれる。
株価も高値で推移し、党内に敵もおらず、内政が万全なはずの首相・安倍晋三が窮地に陥ったのはまさに内政――国会対策である。
「戦後最長の会期にしよう」
6月19日昼、安倍は首相官邸で自民党幹事長・谷垣禎一、官房長官・菅義偉に伝えた。
1回しか会期を延長できない通常国会で、これまでの最長記録は鈴木善幸内閣の94日間。これを1日だけ更新し、95日間とすることで、日本の針路を変える重要法案である安全保障関連法案は「審議を尽くした」とアピールする狙いだ。この後、安倍は公明党代表・山口那津男にも「世論は丁寧な審議を求めている。戦後最長の期間で、じっくり議論する意思を国民に示したい」と説明した。
だが、安倍と菅の意向が当初、お盆休み前の8月10日までの延長だったのは公然の事実だ。それが、さらに長い会期延長に追い込まれたのは、潜在的に安倍に反感を持つ参院自民党の動向と、稚拙な国対のためにほかならない。
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source : 文藝春秋 2015年8月号