月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。大阪の公明支持層の反乱が生んだ橋下引退。永田町のシナリオが狂った。
政界引退を宣言した大阪市長、橋下徹の存在の大きさを浮き彫りにする出来事だった。
「できうれば年内、年末までにと思っている。いろんな再編の形があるが、民主党だけではなく、その他の野党まで含めた幅広い結集ができればと思っている」
都構想否決の共同責任を取って辞任した江田憲司の後を継いだ維新の党代表の松野頼久が5月24日、熊本市内での記者会見で、年内に民主党と合流して100人規模の新党を結成すると明言した。
しかし、翌日の主要紙はこの発言をベタ記事扱いし、中には掲載しない社さえあった。その理由は明確だ。橋下がいなくなった維新に野党再編を主導する力はないと見切っているからだ。永田町の大方の見方も同じだ。
一方で、松野の足元である維新や、維新と連携したい民主の一部、そして何より首相安倍晋三、官房長官の菅義偉には「橋下再登場」というシナリオが早くも浮上しつつある。
特に堺市議出身で、橋下、松井一郎大阪府知事に近い維新の馬場伸幸国対委員長は、松野の新党宣言を「橋下さんが再び登場してこないことを前提にした発言だ」と冷ややかに見ていた。馬場は橋下の影響が強い維新の「大阪グループ」の中心人物。馬場の描く野党再編は、民主党も巻き込んだ新党結成という結論は松野と同じだが、将来復帰してきた橋下が主導するという点で決定的に違っている。
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source : 文藝春秋 2015年7月号