月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。株安に甘利スキャンダル。波乱の始動となった1年をどう乗り切るのか
「閣僚のポストは重い。しかし、政治家として自分を律することはもっと重い。何ら国民に恥じることをしていなくても、私の監督下にある事務所が招いた国民の政治不信を、秘書のせいと責任転嫁するようなことはできない。それは私の政治家としての美学、生きざまに反する」
1月28日夕刻、首相官邸近くにある内閣府1階の会見室。1週間前に発売された週刊文春が報じた金銭授受疑惑について記者会見する経済再生担当相・甘利明は時折、声を詰まらせながら閣僚を辞任する理由を語った。
安倍晋三首相にとって、甘利のスキャンダルは、年初からの急激な株価下落に続く予期せぬ事態となった。
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「甘利さんはどう言っているんですか?」
甘利の記事が掲載されるとの一報を聞いた安倍は、困惑した表情で甘利に確認するよう指示したという。
閣僚の「政治とカネ」の問題は内閣支持率に影響しやすい。第一次安倍内閣も、閣僚の「政治とカネ」が失速の始まりだった。安倍の脳裏には、その記憶がよぎったのだろう。
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source : 文藝春秋 2016年3月号