月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。衆院定数削減に補選対策。決断に向けて、総理自ら党の先を走りはじめた
経済状況が激変し、スキャンダルが次々に勃発する中、政局の底流では衆参ダブル選挙も視野に、年内衆院解散・総選挙に向けた動きが進んでいた。首相・安倍晋三の戦略、そして野党の対抗策が、2月になっていよいよ姿を現し始めた。
「今度(2015年)の簡易国勢調査で区割りを改定する際、衆院定数の10削減をしっかり盛り込んでいきたい」
2月19日、国会3階にある衆院第一委員室で開かれた予算委員会。安倍は、民主党の前首相・野田佳彦から「約束を覚えていますか」と問いかけられたのに対し、堂々と言い切った。
2012年11月、まだ政権を担当していた野田は、安倍との党首討論で、衆院解散の条件として定数削減を「約束」することを挙げていた。それから3年以上が経っても約束は実現していない。その追及を狙った、異例となる首相経験者の登板だった。
しかし安倍は一枚、上手を行っていた。野田が質問に立つと知った首相官邸サイドは論戦前日の18日、翌日に質問する自民党の前厚生労働相・田村憲久に「定数削減について質問してほしい」と要請。19日午前、安倍は田村に答える形で、定数削減を前倒しして実施する姿勢を示した。冒頭のやりとりは、田村への答弁を補足したに過ぎなくなり、野田の見せ場は消えた。
そもそも定数削減問題は、安倍が党の先を走ってきた。
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source : 文藝春秋 2016年4月号