この春より、故郷富山の“高志(こし)の国文学館”の二代目館長に就任した。
高志の国とは古代北陸地方の国名。“山坂を越してゆく地方”に由来するとか、“コシ族”の居住地があったなど、諸説ある。
当文学館は、元は知事公舎であったが、老朽化が進んだため改修され、2012年に生まれ変わった。
初代館長は国文学者の中西進さんが務められた。
中西さんは元号“令和”の考案者とされ、万葉集研究の第一人者だ。
そんな立派な先生の後を継ぐのはなかなかハードルが高く大変だと感じつつも、私は県知事からのオファーをすんなりとお受けしてしまったのである。
「女優は続けますよ。私の仕事も文学のジャンルですもんね。歌の世界には疎いですが、絵本や児童文学ならお任せ下さい。勉強しつつ、実りある楽しい企画を考えますね」
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source : 文藝春秋 2023年7月号