11月に逝った不世出の落語家を弟子が悼む
「大丈夫、落ち込んでない?」
「何よ」
「談志師匠亡くなったでしょ」
「はア?」
これが11月22日の晩のこと。以前、誤報があったから、驚きもしなかった。でも電話の主は最後まで、「じゃあ隠してるんだ」と言ってました。
翌23日は静岡で春風亭昇太さんと二人会。昼頃起きたらアナウンサーの山中秀樹さんから「何かがおかしい。談志師匠の良くない噂が飛び交っている」というメール。またガセだ、そんなのほっとけ、と。そこに不安も恐怖も全くありませんでした。志の輔兄さんと連絡を取り合っても2人共要領を得ない。とりあえずの結論が、いくらなんでも俺達の知らないところで物事は進むことはないだろうと。後で知ったら、その時には物事、儀式は終わりかけてた(笑)。春風亭昇太さんも噂は知っていて新幹線の車中もその話題で持ちきり。
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source : 文藝春秋 2012年1月号