■企画趣旨
2019年以降「働き方改革関連法」の施行に基づく「時間外労働の上限規制」により、様々な産業で労働環境の整備や条件の改善が進展してきました。一方で、適用まで5年間の猶予が与えられている「物流業界」では、改善への動きが加速しているものの、長時間労働と休日労働からの脱却が不完全な状態が続いており、猶予期間が終わる2024年4月1日に向け、環境整備が急務となっています。
物流業界では「トラックドライバーの時間外労働の制限」により「担い手の不足」「労務管理によるコスト増」「輸配送業務の効率化」に対しデジタルを活用した業務効率化、物流施設の機械化・省人化・自動化による生産性の向上、勤務間インターバルの導入による働き方改革の徹底、人材育成、給与水準の見直しなど多くのチャレンジが示されてきました。
しかしながら、物流に関する課題は荷主側、輸配送側の視点だけとってもさまざまな場面で顕在化するため、どこから改善したらよいのか経営者は最善のアプローチ方法を模索しています。
そこで本カンファレンスでは、いよいよ施行が間近に迫る「長時間労働の上限規制」対策に向け、改めてどのようなロードマップを描き、持続可能な体制を築くかについて、荷主側、物流施設運営会社、輸送会社それぞれの変革について、当事者目線で考察した。
■基調講演
物流の2024年問題、打開に向けて
~ 持続可能な物流の実現に向けた課題と期待~
敬愛大学 経済学部教授
「持続可能な物流の実現に向けた検討会」 座長
根本 敏則氏
1953年青森県生まれ。東京工業大学工学部卒業、同大学大学院修了。一橋大学大学院商学研究科教授などを経て現職。一橋大学名誉教授。日本物流学会会長、公益社団法人日本交通政策研究会専務理事、国土交通省運輸審議会委員、財務省関税・外為審議会委員などを歴任。現在、「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の座長を務める。
物流の2024年問題は、今年2023年には80万人を切っていると言われるドライバー不足を始めさまざまな要素を含む。トラックドライバーは、全産業との比較で年間労働時間は約2割長く、年間所得額は約1割低い。長時間労働の主な要因としては、長い運転時間や荷待ち時間、荷役作業等が挙げられる。
それらの元凶は、店着価格制度・多重下請け構造にある。人手不足倒産も起き始めている。ちなみに、アメリカでは2012年から下請禁止、スペインとポルトガルでは23年からドライバーの荷役は禁止だ。そんな状況下に、2024年から労働時間規制が強化される。18年改正の「働き方改革関連法」に基づき、自動車の運転業務の時間外労働についても、法施行(19年)の5年後(24年)より、年960時間の上限規制を適用する。
具体的な対応を行わなかった場合、24年度には輸送能力が約14%(4億トン相当)不足するという資料がある。
◎目指すは物流生産性の向上
付加価値労働生産性=付加価値(売上マイナス費用)÷労働時間と、物流労働生産性=輸送トンキロ÷労働時間。この二つを向上させなければならない。運送業の収入・賃金と物流コストには正の相関があり、従来はデフレ⇒荷主物流コスト削減⇒物流事業者の交渉力弱く、運賃・賃金低迷、という流れだった。
24年からは労働時間が削減されるため、さらに需給はタイトになり、運賃・賃金を上げられる環境条件は整う。先述の流れを、運賃・賃金が上がる以上物流コストも上がる因果関係に転換させたい。しかし、荷主の理解をえるためには“ゼロサム”を脱し“プラスサム”を目指すべきだ。そのためにはまず物的労働生産性を向上させ、その果実を賃金増、労働時間減とともに、運賃値上げの抑制に充当できないか。物的労働生産性を向上させることで付加価値労働生産性の向上を実現できれば、と考える。
◎物流政策の方向性
物流政策には、荷主企業や消費者の意識改革/物流プロセスの課題解決/物流標準化・効率化の推進、の3カテゴリーにさまざまな例がある。荷主・物流事業者に対する新たな規制として、物流生産性向上計画の(中長期的)策定・取組状況報告ができた。物流管理統括者(CLO)の選任も必要になった。
物流プロセスの課題解決のための施策例としては(1)標準パレットの活用による荷役の機械化 (2)メニュープライシング~割り増し・割引サービス~ (3)デジタルタコグラフの義務化、などがある。業務プロセスを標準化し、商慣行を見直して、効率化を促進したい。(3)に関しては欧州などが先行する運行管理システム(FMS=Fleet Management System)や、標準化されたデータを活用した運行管理サービスが好例だ。
標準化・効率化による課題解決策としては、(4)車両の大型化 (5)共同輸配送 (6)中継輸送 (7)モーダルシフト、もある。(4)では、欧米の好事例や「ダブル連結トラック」の導入を検討したい。(7)では、羽田~福岡間の自動運転の検討も進む。羽田~福岡での労働生産性指標では現状、鉄道とフェリーの数字が良い。
■課題解決講演(1)
物流業界が抜け出せない“ヒト”への依存
~ 「属人化した現場業務」を解消するための最善策とは? ~
株式会社スタディスト
営業部/インサイドセールスグループ・ユニットリーダー
本間 遼氏
新卒で内資系医薬品企業に入社。医療用医薬品営業として新薬の立ち上げ、チームマネジメントに従事。DX化の潮流の中で「現場が思い切り自身の職務と向き合い輝ける環境」を提供する必要性を強く感じ、2021年9月よりスタディストに参画。インサイドセールス業務に従事し、年間240社以上に生産性・属人化課題解消の提案を行う。
画像と動画を用いたマニュアルを“かんたんに”作成・共有・管理できるシステムが「Teachme Biz」。小売、飲食、宿泊、製造、物流、など様々な企業に利用されており、外部調査や比較サイトでもNO.1の評価を得ている。
物流業の現場が必ず抱えている3つの課題について。まずは、「業務の“属人化”」。組織において、ある業務のやり方や内容が特定の担当者にしかわからない状態になっている=属人化していると、業務の生産性に大きく影響する。
次に「現場の教育負担」。現場業務が属人化していると、おのずと現場の教育負担も増大する。例えば新人が入る度につきっきりのOJTで指導する、スムーズな配置転換を行うことができないなど、様々な“教育シーン”において非効率となる。作業者によって業務品質が異なる、といった現場レベルの小さな歪み=属人化が、生産性の低下という大きな歪みにつながる。作業種類・手順が複雑な物流業務こそ、現場業務の“属人化”は避けては通れない。
最後に「標準化が困難」。標準化にはマニュアルが有効! しかし、単に物流業務をマニュアル化しても作成が追い付かない、更新されない、現場で活用されないなどの問題があり、標準化はなかなか出来ない。
◎Teachme Bizとは
画像・動画でわかりやすい/タブレットやスマホでの利用可能/更新も共有もボタン1つといった特徴を持つ「Teachme Biz」は、物流業務の標準化を支援する(※作成・使用方法の動画紹介あり)。ビジュアルベースのマニュアルの作成・更新が容易/ステップ型で工程定義し業務再現性が高く実践的/トレーニング、タスク等の活用支援機能が豊富、といった特徴を持つ。
(株)トワードは「マニュアルを作っても現場が見てくれない」を解消、現場業務の標準化及び、教育内容の標準化を実現。(株)インテンツは「“自己流”作業手順の横行」「新人が働きづらい環境」を解消。新人スタッフの早期戦力化及び、早期離職率の大幅回線を実現。日本航空(株)は、コロナ禍でも「遠隔でスムーズな新システム構築を実現」という効用を得た。
マニュアルは、技術伝承・教育にも活用できる。教育を“変える”のではなく、現場での「実践」を効率化すべきだ。物流業の省人化・属人化を解消するとっておきのサービスTeachme Bizの利用を検討いただきたい。
■特別講演(1)
サッポログループのロジスティクス改革
~2024年問題を見込んだロジスティクス価値創造や人財育成、異業種連携の実践事例~
サッポログループ物流株式会社
代表取締役社長
田島 一孝氏
横浜市立大学商学部卒業後、サッポロビール(株)へ入社。同社 西日本ロジスティクスセンター長、サッポロ流通システム株式会社 ロジスティクス推進部長、サッポログループ物流(株)物流業務部長、ロジスティクスソリューション部長を歴任し、2016年3月、サッポロビール(株) サプライチェーンマネジメント部長として物流業務の標準化、高度化、省力化に従事。22年3月よりサッポログループ物流(株)代表取締役、サッポロ流通システム(株)社外取締役 就任。
「潤いを想像し 豊かさに貢献する」を経営理念とするサッポログループ。サッポログループ物流は、酒類と食品・飲料事業の物流を担う。「高い物流品質」「適正なコスト」で、物流環境の変化に応じた「持続可能な物流体制を維持・構築する」ことを目指している。
持続可能なロジスティクスを実現するためには、グループ内外と連携・連動して課題解決取り組みを進める「シェアリング」が必要不可欠となる。このシェアリングを進めるベースとして「可視化」「標準化」を徹底的に推進し、グループ内の基盤整備を進めてきた。こうした方針のもと、サッポログループでは2024年問題を時間・距離・効率化の視点ごとに課題を整理して、社内連携・外部アライアンスによる改善実効策を展開している。
◎「時間」に関する実行策
まずビール4社と卸店が連携した待機時間削減。卸店(日本酒類販売株式会社)にビール専用バースを設置して頂くことによりトラックの待機時間を削減し、4社合わせて大型車換算で年間1,560台(マイナス1,274時間)の効果を創出した。この取組みは経産省の「サプライチェーンイノベーション大賞」を合同受賞した。
また品目や数量、納品先、賞味期限といった情報を事前に電子データでやりとりするASN=Advanced Shipping Notice(事前出荷情報)により、目視による検品を省略。車両待機時間の短縮と車両回転の向上を実現した。自社のメリットのみならず、ドライバーや着店の荷受け担当者からも身体的な負担の減少、業務時間の短縮が実現したと評価を頂いている。
◎「距離」に関する実行策
長距離輸送については、優先順位を決めて物流拠点の再編・拡充を進めている。新設した物流拠点により長距離配送の是正、配送距離の短縮を実現。また、他社との協業によりモーダルシフト・中継輸送を推進することでドライバーの労働環境改善に加え、CO2削減効果を生み出している。
◎「効率化」に関する実行策
翌々日届けを主体にするなど、配送リードタイム延長を実施。作業の計画的な運用、車両確保の時間創出、働き方改革につながっている。また、LPS=Logistics Process Standardization(物流業務標準化社内プロジェクト)を立ち上げ、属人化している業務を極力排除し、計画主導型のロジスティクス業務に変えていくことに取組んでいる。
異業種である日清食品株式会社との共同輸送では、重いビールの上に軽量な即席麺を積載し輸送することで、別々に配送していた過去に比してトラックの使用台数が約20%減少し、CO2排出量を年間で約10t削減することに成功した。1台のトラックは、両社の商品積み合わせにより、容積約90%、重量約95%の積載率を実現している。
ビール4社で連携し、パレット共同回収も行っている。代表1社が回収することで、パレット回収運賃とパレット購入枚数を削減することができ、CO2削減はビール4社計で年間5,158トン(従来比約37%)の削減につながっている。
◎ロジスティクス人財育成・開発
バリューチェーン連携での付加価値向上や高度な改革には、ロジスティクスの難題を解決する人財を輩出できる体系的な学びの場が必要、という考えのもと、2019年にサッポロロジスティクス☆人づくり大学(通称:ロジ大)を開校し、本年第5期を迎えている。
受講生は他社連携・産学連携を含む多彩なプログラムを通じて学びを深め、最終発表では事業構造の改革・見直しに繋がるテーマを設定し、経営層へ直接提言を行う。提言の内容は、所管部署で検討され、実行施策としての展開可否の判断が為されている。ロジ大を通じて社内外に人的ネットワークが育まれ、先述の日清食品株式会社との共同配送など、新たな取組みを生み出している。
◎将来に向けて
「製・配・販連携協議会」に加盟し、フィジカルインターネット※の実現を推進している。また、DX・IT人財育成プログラムで「全社員DX人財化」も推進。2022年よりグループ全体のDX戦略推進力の向上を図り、2024年以降、社内で自走的に人財育成ができる体制を構築していく。
※トラックなどの輸送手段と倉庫のシェアリングによる稼働率・輸送効率向上と燃料消費抑制により持続可能な社会を実現することを目指す、革新的物流システム
■課題解決講演(2)
必要なことは「業務効率化」と「輸送品質向上」の両立
AIドラレコを活用した安全管理マネジメントの新潮流とは
GO株式会社
スマートドライビング事業本部 ビジネス開発部 部長
武田 浩介氏
アクセンチュア(株)にて顧客企業の人事制度や労務管理改革を実施後、製造流通業の顧客に対し、商品開発、サプライチェーン、物流改革などを遂行。2017年、(株)ディー・エヌ・エーオートモーティブ事業本部に入社し、新規事業企画、事業立ち上げに従事。2020年4月、JapanTaxi(株)との統合に伴い、現GO(株)にてDRIVE CHART事業のビジネス責任者として事業を推進。
2024年問題によって起きうる課題として、売上・利益の減少/ドライバーの離職・採用難/事故リスクの増加が挙げられる。それらの解決のために、運賃の値上げ/ドライバーの待遇改善/安全教育の効率化、などの対策を検討している運送事業者は多いだろう。
運賃値上げを実現するには、事故削減による配送品質の向上や、安全対策の対外アピールが効果的だ。また、安全運転の客観的な評価を給与・賞与の算定に活用することで、会社にとってもメリットのある形でドライバーの待遇改善を進めることができる。管理者の負荷軽減による安全管理業務の効率化や新人ドライバーの育成強化も不可欠である。
◎AIドラレコで変わる安全管理業務
これらの課題解決のツールとなるのが、交通事故につながる気の緩みや運転の癖を可視化し、事故削減に向けた改善を実現する「AIドラレコ」だ。例えば、脇見運転や居眠りなど緊急度の高い危険シーンをAIドラレコが検出すると、ドライバーにアラートを出したりリアルタイムで管理者にメール通知する。事故の原因となりうるリスク運転行為を防ぐことが、事故削減対策として効果的なのである。
当社が提供するAIドラレコ「DRIVE CHART」は、99%以上の精度で危ない運転を検知する。さらに、「週次サマリーメール」などの安全運転意識の定着を促進する機能を多数備えている。当社のカスタマーサクセス担当者が導入から運用まで伴走支援するので、導入企業の活用度も高く、リスク運転を60%、事故件数を20%それぞれ削減した事例もある。
AIドラレコの活用は、デジタル化による業務効率化にもつながる。点呼記録簿の作成を自動化したり、デジタコで行っていた車両の稼働状況の管理を一元化していくこともできる。
当社のホームページには、3つの質問に回答するだけで、AIドラレコ導入によるコスト削減・業務時間削減効果の概算シミュレーション結果がわかるサイトがある。ぜひそこで御社の現状をご確認いただきたい。
■課題解決講演(3)
物流を止めない
~「通信障害」「大規模災害」発生時でも、従業員と即時につながる「連絡体制」構築のススメ~
テレネット株式会社
専務取締役
防災士 緊急地震速報利用者協議会 理事
青山 利之氏
緊急地震速報利用者協議会の理事として、全国各地の緊急地震速報の普及に尽力。 緊急地震速報のインターネット配信を活用した「館内放送アナウンスの自動化」や「エレベータ/自動ドア制御の揺れ前の自動開放」など、大規模地震時の死傷率軽減と円滑避難の自動化ソリューションを国内の企業・公共機関など約3,000か所にサービスを提供。緊急災害用無線機「ハザードトーク」内に、通信インフラ負荷をかけないGPS連動の緊急災害速報の個別自動配信システムを実用化させた。物流関連事業者様への導入実績も多数。
近年、大手キャリアの通信障害が多い。2022年は夏~秋に3件発生しており、通常時でも携帯電話がつながらない状況に陥る可能性がある。また、地震などの自然災害が発生した場合は、一般的な通信機器は、輻輳や回線寸断・停電で使用不可能になる。もちろんドライバーの状況もつかめなくなる。
物流を止めないためには、平時はもちろん災害時でも日本全国屋内外問わずクリアに聞こえる通信手段の確保/ドライバーをはじめ社員・関係者への1秒でも早い災害予報の伝達/各現場状況の速やかな共有⇒管理者の全体状況把握と指示出し、が必要である。
災害時に強い「ハザードトーク」は、災害時にも全国どこでも通じる無線機能や防災・減災に必要な各種機能を持ち、平時にはスマートフォンとしても活用可能だ。「法人専用データ帯域」を使っているため、一般コンシューマーのデータ網が逼迫しても、通信と、音声をパケットに変換しての通話が可能。渋滞中の道路の“バスレーン”を優先的に通過するイメージである。
一般の携帯電話が発信規制で使えない時でも、ハザードトークならドコモやソフトバンクの電波かWi-Fiが繋がる所であればどこでも通話が可能。グループ通話ができるので、関係者への連絡が1回で済む。災害時以外の日常の連絡でも便利に活用できる(録音機能で聞き直しも可能)。
エリアメールより早い緊急地震速報配信システム「デュース(DEWS)」や、写真・動画共有システム「ハザードビュー(HAZARD VIEW)」を利用することもできる。また、動画中継ストリーミングサービスで現場とリアルタイムに繋がることができる「ライブGO!」も用意している。
従来の「MCA無線」は近年の災害時に停波のリスクがあり、利用者数や基地局も減少している。「衛星電話」は、山頂や海上ではつながるが、屋内やビルの陰では繋がらず都心部には向かない。また、基本的に車内での使用はできないし、コスト面もハザードトークのほうが有利だ。スピーカーマイクを使えば道交法にも抵触しないのでドライバーは運転しながらハザードトークが使える。
当社は、災害時に強く備蓄品に最適な3キャリア自動切り替えモバイルルーター「エヌスリーアクセス(N3アクセス)」も提供しており、ハザードトークと組み合わせて使うこともできる。堅牢な通信網を構築し、物流を止めないために、当社が提供するソリューションの活用をご検討いただければ幸いだ。
■特別講演(2)
2024 年問題を手の内管理で切り拓く、ニッコンホールディングスの取り組み
~ グループの総合力で挑む、柔軟で強固な物流の実現 ~
ニッコンホールディングス株式会社
代表取締役社長 社長執行役員
黒岩 正勝氏
1973 年、日本梱包運輸倉庫(株)入社。81 年、同社鈴鹿センター営業所長。86 年、同社取締役。89 年、同社常務取締役。94 年、 A.N.I.LOGISTICS,LTD. 社長。99 年、同社専務取締役。2003 年、NKPARTSINDUSTRIES,INC. 会長兼社長。09 年、同社代表取締役社長。15 年、持株会社制へ移行し、ニッコンホールディングス(株) 代表取締役社長 社長執行役員に就任、現在に至る。
2023年3月末現在、ニッコンホールディングスの国内関係会社は45社(従業員1万1698名、車両保有3789台)、海外関係会社は9カ国29社(従業員8545名、車両保有760台)である。国内・海外ともに従業員・車両・倉庫を保有し多くを自前設備で運営しており、グループ従業員の約43%が海外で、売上高は2120億円、営業利益は195億円(いずれも23年3月期連結)だ。
◎2024年問題への対応
24年4月からの時間外労働の適用・改善基準告示強化。今に始まったことではないが、トラックドライバーや物流業界の現状とのギャップは大きく、残り1年を切った今、様々な問題が浮き彫りとなっている。
運送事業者側は、手配が困難(トラックが無い、トラックはあってもドライバーの労働時間が超過)となり、手配できても通常運賃+別途料金更にはリードタイムが長くなる。荷主企業は、より計画的な生産・出荷体制の確立⇒平準化(緊急出荷・スポット便発生抑制)、消費地に近いエリアでの在庫確保などが必要になってくる。
ドライバーの給与は歩合給から時間給体系へ変化する。メリットとしては、長時間労働の抑制や新人でも一定程度の収入が得られること。デメリットとしては、ベテランでも一定以上は稼げない、魅力が減少、売上金額と連動しないため収益圧迫要因となる、などが挙げられる。いずれにしても従来の延長線上では対応できない状況で、当社の過去の歴史以上に効率化の追求・生産性向上は喫緊の課題だ。
当社では、自前設備を手の内管理することによる効率化を図っている。大型(フルトレ)化により車両台数減少/1車複数人制により車両稼働率UP/自前設備・自前作業による全体最適化(組合せ)。つまり車両はフル稼動、ドライバーは短時間労働・多機能工化、手の内管理により、ヒト・車両をフレキシブルに組み合わせ効率化している。
具体例では、21Mフルトレーラーを導入することで、省人化や日帰り運行(負担軽減)、効率化、CO2削減が可能になった。また、「ハブセンター」を開設することでトラック台数を減らし、固定費低減分をドライバーや顧客に還元している。
お客様と一緒にやっていくこと/当社がやること/お客様にやっていただくことを上手く組み合わせて効率化し、無限の知恵を出しグループの総合力を活かして2024年問題に対応していきたい。
2023年6月15日(木) オンラインLIVE配信