★なお残る潮田氏の影響
LIXILグループ(潮田洋一郎会長兼CEO)の株主総会が6月25日に開かれる。昨秋、CEOを解任された瀬戸欣哉氏は自身を含む8人を取締役候補者として株主提案した。一方、会社側は創業家出身の潮田氏の影響力を残そうと総会に向けてあの手この手を繰り出している。
会社側が提案した社外取締役候補はそのいい例だ。候補の1人に、「コーポレートガバナンスの優等生」という評価があるコニカミノルタ取締役会議長の松﨑正年氏がいる。本人はメディアのインタビューで、「(LIXILグループに)ガバナンスの健全化や再構築に取り組む意思があると判断して引き受けた」と語っている。だが瀬戸氏がガバナンスの健全化に向けて話をしたいと、面会の申し入れを松﨑氏に再三しても、なぜか受けようとしないという。
今回の株主総会で取締役から身を引く潮田氏には、自身に弓を引いた瀬戸氏の復帰だけは阻止したいという思いが強い。松﨑氏は「潮田氏の影響力は排除する」とも語っているが、瀬戸氏の面会要請を拒否するのは、潮田氏に配慮してのことだろう。社外取締役には「独立性」が求められるが、果たしてそれが担保できるのだろうか。
LIXILグループは2019年3月期決算で大幅な最終赤字を計上した。業績回復に向けた経営の立て直しは急務だが、会社側は株主総会後のCEOについて、「選任された取締役が決めること」という立場を崩さず、誰のもとで再建を果たすのかを明らかにしていない。
有力視されているのが現在COOの山梨広一氏である。5月中旬に開かれた決算発表の会見で、向こう5年間の中期経営計画を自ら語っているからだ。だが山梨氏は潮田氏の側近中の側近で、評判も良くない。「我々が皆、山梨さんと仕事をする時に感じることは、決断をしてくれない。立場を常に変える。不誠実で不透明な経営姿勢です」。4月下旬、業務執行の責任者を務める10人の上級幹部が連名で、こんな内容の文書を指名委員会に送っている。
幹部の反発をかわすためにギリギリまで「山梨隠し」を続け、総会後は山梨氏がCEOに就いて潮田氏の影響力を残す。会社側の動きには、そんな狙いが透けて見える。
★凋落のみずほ
収益力の乏しさから「3大メガバンクの4番手」と揶揄されてきたみずほフィナンシャルグループ(FG、坂井辰史社長兼CEO)。その地位を「ますます不動のものにした」と市場関係者らから皮肉られているのが2019年3月期決算だ。何しろグループ中核のみずほ銀行(藤原弘治頭取)の本業の儲けを示す実質業務純益(単体ベース、以下同)が前期比約3割落ち込んで2078億円に。資産規模でほぼ拮抗する三井住友FG(太田純社長)傘下の三井住友銀行(髙島誠頭取CEO)に3倍近くも水をあけられた。
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source : 文藝春秋 2019年7月号