月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。年内解散封印で岸田政権は瀕死となり、茂木、高市、小泉らが動き出す
師走の木枯らしが、ひときわ身に沁みているに違いない。岸田内閣の支持率はもはや回復が見込めないほど冷え込んでいる。11月半ばの主要各紙の世論調査で、いずれも20%台まで下落し、2012年12月に自民党が政権復帰して以降、最低を更新した。岸田文雄首相が目論んできた来年9月の総裁選での再選戦略も、今や風前の灯火。早くも「ポスト岸田」をにらみ、永田町は百鬼夜行の様相だ。
「減税が選挙目当てなんて、全く的外れだ。私は(国民に)誤解されている」。つるべ落としの内閣支持率を見つめながら、岸田は執務室でこう漏らし唇をかみしめた。今さら悔やんだところで、時計の針は過去に戻らない。
思い起こせば、22年8月の旧統一教会の問題を引き金として右肩下がりに転じた支持率も年明けから上昇。23年3月の日韓首脳会談、ウクライナ電撃訪問、そして先進7カ国(G7)首脳会議の議長として存在感を内外に誇示し、支持率は再び絶頂を迎えた。
その直後の5月、政務秘書官を務めていた長男らが首相公邸で繰り広げた忘年会のどんちゃん騒ぎの写真が報じられた。マイナンバーカードの相次ぐ管理ミスも追い打ちをかけたものの、今の惨状に比べれば、まだましだった。当時、岸田は「まだ総裁任期まで1年以上ある」と周辺に漏らしていたが、自民党選対委員長だった森山裕らは早期の解散を促していた。「あの時、伝家の宝刀を抜いていれば……」との思いが岸田の胸に去来しているのではないか。
次善の策は秋の臨時国会での解散だった。仕込んだカードは内閣改造・自民党役員人事、旧統一教会への解散命令請求、経済対策の3枚。衆院解散・総選挙と政権浮揚を画策した武器が不発、いや人事と経済対策に至っては地雷と化して自爆してしまった。
なぜ、こんな負の連鎖が起きたのか。端的に言えば、岸田とその周辺の戦略、そして自民党との連携の欠如ゆえにほかならない。象徴的だったのは、税金滞納問題が報じられた財務副大臣・神田憲次の更迭劇だ。
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source : 文藝春秋 2024年1月号