ザ・ピーナッツ「ふりむかないで」
(1962年、作詞:岩谷時子 作曲:宮川泰)
テレサ・テン「ジェルソミーナの歩いた道」
(1981年、作詞:門谷憲二 作曲:丹羽応樹)
北原ミレイ「石狩挽歌」
(1975年、作詞:なかにし礼 作曲:浜圭介)
「ふりむかないで」は工場の女子寮に住んでいる若い女性のもとに、男友だちがデートに迎えに来たので、慌ててとっておきのスカートを穿き、靴下を直しているという情景が浮かぶ歌。貧しさのなかに生き生きした気持ちが溢れている。
「ジェルソミーナの歩いた道」は生涯を台湾、日本、香港と東アジアを流浪して歌い続けたテレサ・テンの秘曲。
「石狩挽歌」は日本最古の植民地のひとつ、北海道に入植した者たちの裔(すえ)が抱いたノスタルジア。
3曲いずれもが、世界の周縁に置かれ、言葉を長らく与えられてこなかった女性たちの歌である。
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source : 文藝春秋 2024年2月号