月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。株価史上最高値でも支持率下落。岸田降ろしの号砲は予算成立後か
「就任以来、賃上げ、投資促進、科学技術イノベーションに力を入れてきた。今、日本経済が動き出している。国内外のマーケット関係者が評価してくれていることには心強く思う」
日経平均株価の終値が3万9098円68銭とバブル期超えの史上最高値を更新した2月22日、執務を終えた岸田文雄首相は、官邸で記者団に経済政策を自画自賛した。市場は年内4万2000円超えの声が出るなど強気の見方が支配的だが、足元の景気は物価高で低迷し、生活実感とはほど遠い。
足元が覚束ないのは岸田も同様だ。2月18日に相次いで示された各社の世論調査の結果が厳しい。内閣支持率が「危険水域」とされる20%前後。岸田派の解散を打ち出し、安倍派、二階派、森山派の解散ドミノを導いた効果もなく、毎日新聞に至っては支持率14%、不支持率が82%と壊滅的だ。派閥の政治資金パーティを巡る裏金事件の影響で、自民党支持率も20%以下に低迷。昨年死去した青木幹雄元参院議員会長が唱えた、内閣支持率と政党支持率の合計が「50」を割り込むと政権運営が厳しくなるという「青木の法則」にも抵触する。
「鈍感力」で鳴らす岸田もこの数字を目の当たりにして「う〜ん」と唸るばかり。「これからは世論調査を見ないようにする」と言うのが精一杯だった。首相周辺も「このまま低空飛行でいくしかない」とさじを投げ気味だ。
自民党幹事長・茂木敏充は2月1日のBS番組で、今の自民党の状況を封建体制が崩れた室町時代末期にたとえて「ここから群雄割拠の時代に入る」と述べ、政権末期だと当てこすった。そこには「明智光秀より織田信長が好きだ」と言う茂木の総理・総裁への野望が隠されているのは言うまでもない。
茂木のみならずポスト岸田をにらむ面々が動き出す中、岸田が頼るのは後見人の麻生太郎副総裁だ。2月20日、東京・丸の内のパレスホテルの和食料理店で向き合った2人の話題は、裏金事件を巡り野党が求めている安倍、二階両派幹部らの政治倫理審査会への出席に及んだ。2024年度予算案の年度内成立を確実にするためには乗り越えなければならないヤマだ。与党の国会運営を担う浜田靖一国対委員長は「こっちのカードは政倫審しかない」として森山裕総務会長ともども、立憲民主党の安住淳国対委員長と水面下の折衝を繰り広げていた。
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source : 文藝春秋 2024年4月号