対米支援を決めた途端に中国の交戦国になる
2021年12月1日、台湾で開かれたシンポジウムに安倍晋三元首相がオンラインで参加し、「台湾有事は日本有事」と発言しました。当時、大きな波紋を呼びましたが、その後、この言葉も徐々に浸透し、今ではなかば“常識”と化しています。
ただ「台湾有事は日本有事だ」と念仏のように唱えているだけでは、何も解決しません。問題は、「台湾有事は日本有事」が実際にどんな事態を意味しているのか、そしてそうした事態にどう対処するかです。真剣に考えれば考えるほど、現行の法制度や日米安保体制では対処できない厄介な問題が次から次へと明らかになってきます。
こう語るのは、元陸上自衛隊の本松敬史氏(61)。第八師団長や統合幕僚副長などの要職を経たのち、2020年8月まで九州や沖縄を管轄する「陸自西部方面隊」トップの総監を務めた。
退職後も、民間シンクタンク「日本戦略研究フォーラム」主催で、国会議員、元政府高官、元自衛官らによって行なわれた「台湾海峡危機政策シミュレーション」に過去3回参加した人物だ。
その本松氏が、「台湾有事は日本有事」をめぐる数々のジレンマを明らかにする。
「台湾有事は日本有事」の意味
昨年2月に台湾を訪れた際に衝撃的な体験をしました。
台湾の「国防安全研究院」などシンクタンクのメンバーとの意見交換の場で、「もし台湾有事が発生すれば、台湾にいる邦人2万4000人を避難させなければいけない」と発言しました。すると、台湾側の人々が「何を言っているんだ! 日本は台湾を『助ける』のではないのか? 日本は台湾から『逃げる』のか?」と色をなして反論してきたのです。
その瞬間、私は「台湾有事は日本有事」という言葉の理解が、日本と台湾の間では180度、異なっていることを痛感しました。
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source : 文藝春秋 2024年4月号