動物のいのちはモノより軽いのか?

巻頭随筆

杉本 彩 女優・公益財団法人動物環境・福祉協会Eva代表理事
ニュース 社会 芸能

 50匹以上の猫が男に連れ去られて殺害された富山市の事件、インコを虐待する動画がネットに投稿されていた事件――痛ましい動物虐待が、毎日のようにメディアで報じられています。

 動物虐待は年々増加しており、昨年は全国で84件の虐待事例が検挙されています。動物虐待は犯人が捕まらないことが多く、これらは氷山の一角にすぎません。しかも日本では、凶悪な動物虐待犯がごく軽い処罰しか受けない状況が長く続いてきました。

 たとえば2017年8月、埼玉県在住の男が複数の猫をバーナーで焼き熱湯をかけて惨殺した動画をネットに投稿するという事件がありました。これには厳罰を求める声が多く上がりました。

 ところが、執行猶予付きの有罪で終わったのです。命ある生物がむごい殺され方をしても、器物損壊(3年以下の懲役)よりも軽い刑罰しか受けない。なんという矛盾でしょうか。

 私たちは昨年7月から動物虐待厳罰化の請願署名活動を展開し、約25万人分の署名を集めました。そして、永田町の議員会館や官邸、議長公邸に行き、陳情を繰り返しました。超党派議員連盟では3時間以上におよぶ会議もざらでした。

 そして、25万人の方々の力が後押しになり、今年6月12日、改正動物愛護管理法が参院本会議で、全会一致で可決、成立したのです。

 この改正により、殺傷の場合、2年以下の懲役(または罰金200万円以下)から5年以下の懲役(または罰金500万円以下)へと、大幅な厳罰化が実現しました。虐待・遺棄についても、罰金100万円以下から、懲役1年以下または罰金100万円以下へと強化されました。

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source : 文藝春秋 2019年9月号

genre : ニュース 社会 芸能