著名人が父親との思い出を回顧します。今回の語り手は、若林佑真さん(俳優・ジェンダー表現監修)です。
二十歳の時、自分がトランスジェンダーであることを父にカミングアウトした。僕は“女性”として生を享け、小さい頃は根っからの“パパっ子”。ずっと父の後ろをついて回っていた。
「父がやっていることは全部やりたい!」「持っているものは全部欲しい!」そのくらい父のことを尊敬していた。
いつしか「自分も父のようになりたい」と思い始めたことが、自分自身がトランスジェンダーであると気が付くきっかけの一つでもあった。
そんな父にカミングアウトすることは、容易ではなかった。
「父の理想の“娘”像ではない」
「悲しい思いをさせてしまうだろう」
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source : 文藝春秋 2024年7月号