映画、ドラマ、歌でファンを魅了した昭和の大スター石原裕次郎(1934〜1987)。“石原軍団”のひとりだった舘ひろし氏が、映画人・石原裕次郎を語る。
裕次郎さんに初めて会ったのは昭和54(1979)年、「西部警察」に出演したときでした。撮影初日に現場入りすると、白いディレクターズチェアが二つ並べてあり、背もたれに「石原裕次郎」「渡哲也」と書いてありました。僕もチェアがあったので並べて置いたら、現場入りした裕次郎さんが目にとめ、「誰のだ?」と周囲に尋ねました。「僕のです」と答えると、「舘くんのか。10年早いな」と言われました。
周りを見ると、たしかに先輩の俳優さん達はみんな立っている。スタッフが「舘くんは腰が悪くて……」と気を利かしてくれても、「10年早い」にカチンときた僕は「腰は痛くないですよ」と返しました。
当時、僕は29歳。3年前に東映の『暴力教室』でデビューし、7本の映画に出演して主演作もありました。
「もうそういう時代じゃないですよ」。僕が裕次郎さんに言うと、現場が凍りつきました。
「もうそんな時代じゃないか」
おもしろがるように言って立ち去った裕次郎さんは40代半ばに見えない貫禄。大きな人だと思いました。
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source : 文藝春秋 2024年8月号