韓国を覆う危険な「楽観論」の正体

前釜山総領事の独占手記

道上 尚史 前釜山総領事
ニュース 国際 韓国・北朝鮮
総領事館前の慰安婦像・徴用工像設置をめぐる攻防、総領事館内での学生たちの“反日示威行為”…日韓友好の象徴だった釜山はここ数年で変わってしまった。外務省きっての“韓国通”前釜山総領事の道上氏が読み解く「日韓すれ違い」の本質とは?

釜山が「日韓友好」の象徴だった理由 

 私は1983(昭和58)年に外務省に入省して以来韓国に関わってきた。ソウルで3度、この8月まで釜山で1度勤務し、合計10年間韓国で暮らした。

 36年の経験をもとに、この1、2カ月でなく少し長い視点で、韓国の変化について、また韓国という国との付き合い方について、書いてみたいと思う。

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 私が在釜山日本総領事として着任したのは、2017年6月。慰安婦像が総領事館前に設置された半年後のことであった。

 2018年春、総領事館前に「労働者像」(編集部注:いわゆる徴用工像)を設置しようという労働団体の動きが活発化した。

 そして同年5月1日、デモ隊と、労働者像の設置を防ごうとする機動隊、合わせて数千名が総領事館前で対峙し、一部では衝突も起こった。その後、労働者像は1度、釜山市によって撤去されたのだが、現時点では解決に至っていない。

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 2019年5月1日、天皇陛下が即位され、令和の時代が始まった。

 実はその日、総領事館の前に労働者像を設置し、「反日の道」を宣言しようという計画があった。これは何とか防ぐことができた。さらに7月22日、総領事館内の図書室で本や資料を閲覧していた学生たちが、突然中庭に出て、短時間ではあるが、「反日示威行為」を行うという事案が発生した。その後も反日デモは続いている。

 釜山の人々は「我々は韓国で1番日本への親近感が強い」と言う。実際、日本語教育の盛んな地域であり、政治懸案の多いソウルと異なり、ほんの4、5年前まで、釜山は長きにわたり日韓の友好と交流の象徴だった。

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source : 文藝春秋 2019年10月号

genre : ニュース 国際 韓国・北朝鮮