今年の初夏、アメリカの中西部から東南部にかけて一兆匹ものセミが大発生し、地域によっては森、林、畑、そして市街地までもがセミで埋め尽くされた。車道を覆ったセミの死骸は滑りやすいので清掃車が片付け、歩道や庭のものは住人が掃き集め、ゴミ箱に捨てたり庭の植物の肥料にしたという。これらは周期ゼミと呼ばれるセミである。日本のアブラゼミの半分ほどの大きさの、赤いビーズのような目をしたセミで、一定年数おきに地上に現われる。今年の騒ぎは、南部の十三年ゼミと北部の十七年ゼミがたまたま一致して現われたことによる。こんなことが起きるのは十三と十七の最小公倍数である二百二十一年に一度だから、前回は一八〇三年、アメリカがフランスのナポレオンから中西部の十五州を買った(ルイジアナ買収)年である。
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source : 文藝春秋 2024年9月号