偉大な業績を残し、世を去った5名の人生を振り返る追悼コラム
★徳田虎雄
医師で政治家の徳田虎雄(とくだとらお)は勤務医から出発し、「生命だけは平等だ」と唱えて日本の医療革命を目指した。
1990(平成2)年、奄美群島区での激しい選挙戦を制して衆議院議員となる。すでに日本最大の病院グループ「徳洲会」を育てあげ、さらなる拡大を狙ってのことだった。しかし、政治は徳田と徳洲会を変えていった。
38(昭和13)年、兵庫県に生まれ、2歳のとき奄美群島の徳之島に移る。幼い頃から農業を手伝うが、小学3年生のとき弟が激しい嘔吐と下痢に襲われた。徳田は島中を走って何人もの医者に往診を頼むが断られ、翌日に医者を連れてきた時、弟は「白目をむいて死んでいた」という。
この時、「医者になろう」と決心する。さらに徳之島高校2年のとき大阪大学医学部附属病院で蓄膿症の手術を受け、「大阪大医学部に入る」と決めたという。大阪の今宮高校に編入し、2年生からやりなおして、2浪の末に大阪大医学部に合格する。
卒業後は勤務医となるが、72年、妻と共に銀行と交渉し、「保険に入って自殺してでも借金は返す」と説得して、徳田病院の建設資金を融資してもらう。
以降、「年中無休」「24時間オープン」「贈物は受け取らない」などを標榜して、次々に病院を建設した。その間、医師会と摩擦を起こしたが、民意をテコに拡大を続け、徳田に期待するアメリカ帰りや元全共闘の若い医師たちが多く集まるようになる。
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source : 文藝春秋 2024年9月号