子供時代の私は、街を自由に歩きたくても、車があるためにそれができないうらめしさを、少しばかり車に対して抱いていたことも確かである──即位を控える中、新天皇陛下が秘かに発表された論文があった
5月1日、令和の幕開けとともに皇太子殿下(59)が126代天皇に即位された。
「日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望します」
と即位後、初めてのお言葉を述べられた。
雅子妃殿下(55)は新皇后となられ、皇居・宮殿で「即位後朝見の儀」に臨まれた。陛下よりひと足早く戻られたお住いの赤坂御所(元東宮御所)の部屋には、この4月に学習院女子高等科3年生になられた愛子内親王殿下(17)が筆で書かれた「令和」の半紙が飾ってある。その文字は墨痕あざやか実に堂々たるもので、令和時代の安寧を願うお気持ちが見る者に伝わるものだという。
両陛下は、この文字を折に触れご覧になり、平成の終わりと令和の始まりを迎えられた。
年が明けてからの天皇陛下は、精力的に日程をこなされていた。正月の諸行事を終えられてからは、数カ国の外国大使や赴任大使、「世界青年の船」事業参加青年団と接見。皇居や赤坂御用地で除草や清掃などを行う勤労奉仕団とも1カ月に5、6回の御会釈をされていた。
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source : 文藝春秋 2019年6月号