短歌や詩を作り、戯曲を書いて劇団「天井桟敷」を主宰。競馬の予想コラムを連載し、映画も監督――。寺山修司(1935〜1983)は、幅広い分野で才能を発揮した。
女優の高橋ひとみ氏は、高校3年だった昭和54(1979)年の夏、友人に付き合って受けた天井桟敷のオーディションに合格し、舞台『青ひげ公の城』でデビュー。“寺山の秘蔵っ子”と呼ばれた。
私のどこがお目に留まったのか、いまでもわかりません。オーディションで覚えているのは、事前に読んで行った寺山さんの『幸福論』という本が全然わからなかったと言ったら、
「わかろうとするからだよ。わかろうとしなくていいんだ」
と返されたことくらいです。自分の番が終わったので友人を待っていたら、寺山さんが来て「君、何番?」と訊かれたんです。
初舞台の初日、寺山さんが「おめでとう」と言って、スクラップブックをくださいました。表紙から全てお手製で、稽古中の私の写真や衣装のラフ画のスケッチ、舞台ポスターのほか、私のためだけに書いてくれた詩まで。いまも宝物です。
その中に「女優としてやっていくための五カ条」があります。「うまくなるな」「体をつねに鍛えろ」「いいライバルを見つけろ」「本を読むこと」「いいものを見ろ」です。
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