月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。低支持率が続く石破に対し、後継を狙う面々が蠢き出した
前門の虎、後門の狼──。
年が明けて、いよいよ召集される通常国会で、首相の石破茂が直面する状況である。衆議院で多数を占める野党に進路を阻まれ、背後から自民党内の反石破派に突き上げられる。無事に6月の会期末を迎え、首相のまま夏の参院選に臨めるか、至難の業だ。
「やはり総選挙は予算委員会の後にすればよかったな」
臨時国会が開かれていた昨年12月、石破は少数与党として臨んだ衆議院予算委員会の審議を乗り切り、2024年度補正予算が成立する見通しが立つと、周囲にこう漏らした。
9月の総裁選直後に、衆院解散・総選挙は国会論戦後と明言したのに、首相に就任するや予算委を開かずに早期解散に踏み切ったことが「変節」と批判され、自民党惨敗の一因となった経緯にまだ拘っているのだ。と同時に、石破本人は予算委での野党との論戦に自信を深めたと見える。
実際、臨時国会での答弁は危なげなくこなした。そもそも大の議論好き。質問をじっくり聞き、自分の言葉で滔々と答える様は、討論を楽しんでいるようにも映った。
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source : 文藝春秋 2025年2月号