月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。3年前の遺恨を超えて決選投票で菅=岸田の連携はあるのか
9月12日告示の自民党総裁選を前に、戦わずして勝利した人物がいる。首相の岸田文雄である。総裁選出馬を断念した結果、40代の中堅や女性議員を含む10人超の出馬が見込まれる乱戦が世の耳目を集め、裏金事件で地に落ちた党勢を反転させたからだ。
一足先に始まった立憲民主党代表選が「昔の名前」の争いとなり、自民党の「刷新感」が際だった。テレビ各局は有力候補の一挙手一投足を追い、私生活まで取り上げる。これが27日の投票日まで続けば、まさにメディアジャックだ。岸田は予想以上の展開に「高みの見物」(周辺)である。
首相にとって引き際は最も難しい決断だ。政権運営には、自身が国の舵取りに最も適しているという自負が欠かせない。支持率が少々下がった程度で揺らぐメンタルでは務まらない。
あわせて、自身の状況を客観視する冷静さも必要だ。傍目には明らかに国民の信を失っているのに権力の座にしがみつき、総裁選や国政選挙に一縷の望みをかけてしまえば、見るも無惨な敗北が待ち受ける。
裏金事件が政権を直撃して以降、岸田の内心は、こうしたせめぎあいの連続だったに違いない。
6月の国会閉会後に電気・ガス料金補助の8月再開を決め、憲法改正論議の加速も指示したのは、再選出馬への布石と受け取られた。7月下旬になっても総裁の地位を諦めるそぶりは見せず、周囲には「今月中は何も言わねえ。NHKの調査が勝負だ」と8月5日公表の世論調査で支持率が上向くかどうか、見極める考えだった。
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source : 文藝春秋 2024年10月号