生成AI、核融合「アルトマン」はジョブズやマスクを超えられるか

類まれなる能力と「犠牲」

森川 潤 NewsPicks ニューヨーク支局長
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 古くはトーマス・エジソンから、スティーブ・ジョブズに、イーロン・マスクまで……。近代の歴史には、テクノロジーで時代を作り変えた起業家たちがいる。

 今、そうした系譜において、最前線に立っている人物は、間違いなくサム・アルトマン(39)だろう。彼が率いるOpenAI(オープンエーアイ)は、2022年に生成AI(人工知能)の「ChatGPT(チャットジーピーテイー)」で世界中を衝撃の渦に巻き込むと、その後も画像や音声、動画と能力を拡張し、「生成AI革命」の先頭をひた走っている。

サム・アルトマン氏 ©AFP=時事

 すでに最新の生成モデルの「o1(オーワン)」では数学オリンピックの問題を8割以上も解けるレベルに進化し、コンピューターのプログラミング、宇宙物理、有機化学でも博士号レベルの能力を叩き出すまでになった。アルトマンは9月、「人類は(人間を超える超知性を)数千日後には手に入れるかもしれない」とまで断言してしまっている。

 アルトマンは、優れたビジネスパーソンでもある。この2年、生成AIに巨額の資金が集まるなかでも、OpenAIだけはスケールが別格だ。ちょうど10月には、日本のソフトバンクグループを含む投資家群から約1兆円を調達し、創業わずか10年未満で評価額は約23兆円に達した。この額を超えるスタートアップは、マスクのスペースXのみで、日本の全上場企業を見渡しても、トヨタ一社しかない。

 これら事実を並べるだけで、アルトマンがトップ起業家の一人であることは十分伝わるだろう。ただ、実のところ、彼の「真髄」は、その製品や資金では見えてこないところにある。

 それは、一言でいえば、一社でヒットを産み出すだけでなく、時代ごと書き換えてしまうような「未来予知能力」を持っていることだ。そして、その点こそが、彼が、冒頭に挙げたジョブズやマスクら「歴史的なイノベーター」の系譜に名を連ねんとしている要因といえる。

 そのキーワードは、「AGI(汎用人工知能)」だ。これは人類の知性を超えるレベルの知能を意味しており、アルトマンが2015年、マスクらとOpenAIを創業した際も、その「人間レベルのAIの誕生」を念頭に置いた声明文を出していた。

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