清武氏に学んだ練達の文章術…最終回を迎えた「記者は天国に行けない」

vol.91

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「自分のことを書くのは本当に恥ずかしい!」

 度々そう口にしていたのはノンフィクション作家の清武英利さん。3年以上にわたり連載していた「記者は天国に行けない」が遂に最終回を迎えました。

清武氏 ©文藝春秋

 読売新聞に入社し青森支局に配属された新人時代まで遡り、四大証券会社の損失補填を暴いた国税庁担当時代、育成選手制度の創設に情熱を注いだ巨人軍代表時代、そして「読売のドン」こと渡邉恒雄との熾烈な戦いを繰り広げた結果、読売新聞を追われ、裸一貫でノンフィクション作家として独立するまでの約50年にわたる清武さんの波乱万丈の記者人生を一気通貫に振り返っています。
 

渡邉恒雄主筆の訃報を伝える読売新聞社報

 一方で、電力業界の闇を暴いた朝日新聞記者、農協職員の自爆営業を告発する農業ジャーナリスト、相撲担当から総理番を務めることになった毎日新聞記者……などなど、異色の経歴を持つ記者たちの生き様や矜持を紹介している点も本連載の特徴でした。

 清武さんは打ち合わせのたびに「古臭い話にならないように」「説教臭くならないように」「雑誌ならではの読み切りの面白さを」と呟き、その点に心を砕いているようでした。連載の回を重ねるごとに読者投票のランキングは上がり続け、「記者は天国に行けない」というタイトルも、いつの間にか「記者天」という愛称で親しまれるようになるなど、確実に読者を広げていったと思います。

 清武さんが苦労して執筆されている一方で、私は担当編集者でありながら、正直、ほとんど大した働きはしていませんでした。毎回、原稿が届くたびに、ひたすら夢中で読んでいたというのが実情です。

「抜群に面白い! 臨場感のある筆致がすごい!」。それが毎回の率直な感想でした。私は一読者として“清武節”とでも呼べる、独特の文体に酔いしれていたのだと思います。

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