〈マンションには54台もの防犯カメラが設置されており、住民は24時間行動を監視されています〉
都内一等地に佇むヴィンテージマンション「秀和幡ヶ谷レジデンス」。ここでは約25年もの間、管理組合によって、住民への過度な監視や異常なルールの押し付けといった“独裁管理”が敷かれていた。本書は、管理組合に反旗を翻した住民たちの1200日にも及ぶ闘いを描いたルポルタージュだ。

「住民と初めて会った時、率直に『人ってこれだけ怒れるんだ』と思いました。管理組合が作った“謎ルール”は、およそ現実とは思えないようなものばかりで、住民たちが怒るのも無理はありません。管理組合側は、もとは治安の維持やマンションの秩序を守りたいという思いで動いていたようです。でも、いつしかその“正義”が暴走していった。そんな印象を受けました」
住民たちは、管理組合の理事会のメンバー刷新に必要な「過半数の委任状」を集めるため決起。しかし、その道のりは平坦ではなかった。
「反管理組合派も100人規模になると、考え方はバラバラ。目指すゴールは同じはずなのに、派閥ができ、すれ違いが起きる。簡単にはまとまらない様子が、むしろ人間らしくて興味深かったです」
印象に残ったのは、窮地に立たされた住民たちの言葉の数々だった。
「大の大人が『許せない』などと繰り返す――彼らの言葉の生々しさを少しでも伝えたくて、『 』部分はできるだけそのままの形で書いています。そうした言葉こそが事態の深刻さを物語っていたし、読者にとって、決して他人事ではないという実感に繋がると思ったからです」
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source : 文藝春秋 2025年6月号