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その数400校! 中国で「ニセ大学」による入試詐欺が増えている理由

ターゲットは情報不足の農村出身者

2019/03/05

genre : ニュース, 国際

 ここ5~6年ほどで、中国製のニセモノ製品や怪しいニセ組織に関するニュースはずいぶん減った。もちろん、婚活サイトなどで軍人を名乗って女性を騙す「ニセ人民解放軍」事件が頻発したり、今年2月にネット商店主の女性が大手IT企業アリババの元幹部を自称してウソがバレた「ニセアリババ」事件が起きたりはしているが(ただしこの女性はアリババでの勤務経験自体はあった)、いずれも個人レベルの詐欺やフカシにとどまっている。

 だが、中国には現在もなお、スケールのデカいニセモノ話は残っている。その代表的なもののひとつが「ニセ大学」だ。中国語での表記は「野鶏大学(野良ニワトリ大学)」もしくは「虚假大学(虚偽大学)」である。

「野鶏大学」については、アメリカなどに多いディプロマミル(就学実態がなくてもカネで学位を与えてくれる学歴商法)についても同一の訳語が使われているのでややこしいが、中国のニセ大学の事情はもっと複雑である。一応はニセ学位をもらえる学校もあるのだが、入学金や学費を騙し取るだけの、より悪質な詐欺も多々見られるからだ。

 毎年6月に実施される、中国の全国統一型の大学入試「高考」(普通高等学校招生全国統一考試)まで100日を切った現在、中国のネットニュースではこの手のニセ大学の話題が再び活発になっている。

2018年の大学入試「高考」の様子。多くの家族が会場の外で受験生を待つ  ©AFLO

400校近い「ニセ大学」が存在している

 2017年6月の高考後に明らかにされたところによれば、中国全土に存在するニセ大学の数は392校。その「住所」は北京が151校と最多で、他に上海市や山東省などでも30校近くが確認されるなど、中国に31地方ある省・自治区・直轄市のうち26地域で存在が確認されたという。

 校名の多くは「北京工商学院」(→北京工商大学)、「中国郵電大学」(→北京郵電大学)、「広州理工学院」(→広東理工大学)といった既存の大手大学のパクリや、「北京医科大学」「華北師範学院」のような、いかにも実在しそうな名前だったということである。

『人民日報』に掲載されたニセ大学リストのごく一部。大手大学と誤解しやすいようにするためか、個性がない大学名が目立つ

 2016年に四川省で明らかになったニセ大学・四川信息工程学院のホームページ上の住所は成都市内にある実在の大学・成都信息工程大学とほぼ同じ。同じくニセ大学の四川経済管理学院も、実在する四川科技職業学院の分校と住所が同一だったという。ニセ大学のホームページは多くが国外のサーバ上に置かれていたとのことであり、こうした特徴は他地域の大学も似たり寄ったりだ。

 昨年6月には「武漢経貿大学」を名乗るニセ大学が、実在する河北経貿大学のサイトをまるごとコピーした公式ウェブサイトを作っており、河北省当局から閉鎖させられる騒ぎもあった。

 こちらでは湖北省の武漢市の大学(という設定)にもかかわらず、大学案内のなかで「河北省共産党委員会・河北省政府が示した目標を実現し……」といったコピペ元サイトの文言を修正せずにそのまま使っていたとのこと。ウソをつくにしても、かなり雑な仕事ぶりだ。