知っておくべきことは“過呼吸で命を落とすことはない”
過呼吸を感じたとき、人は「酸素を吸い込もう」と焦るあまりパニックに陥る。そんな時はあえて「吐き出そう」とすることで、自然な呼吸に戻れることが多い。
以前は紙袋やビニール袋を口に当てて呼吸させる「ペーパーバッグ法」という処置が講じられていた時代があった。過呼吸で二酸化炭素濃度が下がった分を再吸入させようとするものだ。
しかし、これをすると酸素濃度が下がってしまう、との理由から、近年は推奨されなくなっている。
「個人的にはペーパーバッグ法で治るならやってもいいとは思うんです。それよりも知っておいてほしいのは、“過呼吸で命を落とすことはない”ということ。まあ、パニックになってビルから飛び降りたりしたら別ですが」(小泉医師)
一度医療機関にかかって「過呼吸症候群」と診断されたら、次からは慌てずに様子を見てもいいだろう。もちろん、不安な時は医療の手を借りるべきだが、何より重要なのは、本人も周囲も「慌てない」ことだ。
そして、落ち着きを取り戻したら、心療内科を受診することをお勧めする。
「パニック障害から起きている過呼吸なら人生経験を積むことで自然に治っていくものですが、背景にうつ病が絡んでいると中々治らないことが多いので」(小泉医師)
話をE子さんに戻そう。
自宅に救急車を呼んで周囲を騒がせてしまった上、数時間後には歩いて二人でマンションに戻ったところを近隣住民に見られて恥ずかしくなった彼は、これを機に引っ越しを決意する。そこでE子さんと暮らそうと考えたのだ。早い話が「結婚」だ。やさしい男じゃないか。
本当は、そうじゃなくても結婚するつもりだったのだが、きっかけができたということだ。E子さんとしても、自分のことをここまで思ってくれる男性と暮らせるなら、心身ともに安心だ。会社への不満はあるだろうし、今後もたまには過呼吸に見舞われることもあるかもしれないが、そこは二人で乗り越えていけばいい。
というわけで、今回はやや強引なハッピーエンドとなりました。