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「中国スゴイ!」と持ち上げられた無人コンビニ、バブル崩壊でただの箱に

「中国スゴイ!」と持ち上げられた無人コンビニ、バブル崩壊でただの箱に

流行らなかった理由は、お客さんが買いたがらなかったから

2019/09/14
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セルフレジ導入は間違っていない

 中国連鎖(チェーン店)経営協会会長の裴亮氏は、こうコメントしています――「小売は突き詰めれば商品のコストを最低まで下げること。ニューリテールが成功するかは、コストが下がるか否かにかかっている」。無人コンビニは店舗数が少ないため、物流配送の効率が悪いことから、しばしば特定の商品が不足することもあり、消費者のニーズに応えていなかったのです。

筆者がありだと思ったホテル内の無人コンビニ ©山谷剛史

 いや、無人コンビニは必ずしもダメではないんです。例えばホテルの中で無人コンビニを見たことがあります。それはあってよかったと思った。小腹を満たしたいときに、ロビーフロアに下りればホテル内に無人コンビニがある。ホテルの外に出て商店を探すのも面倒だし、エアコンがきいたフロアでアプリを起動して店のドアロックを解除して、ジュースなりポテトチップスをセルフレジで買う。それは悪くない経験でした。

アダルトショップの無人商店は貧しい地域にも広く展開 ©︎山谷剛史

 ガラス張りの空間ではないですが、無人空間に自販機だけが並んだ店舗の中でも、いわゆる“おとなのおもちゃ”を扱っている店は中国全土で普及しています。中国でもそういった店での買い物は恥ずかしいようですね。中国の地図アプリで「無人商店」と入れて出てきた店舗は8、9割、いやそれ以上の割合で無人のアダルトショップです。意識の高そうな技術が、意外にも意識の低い現場で大活躍していました。

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 今、北京や上海では「便利蜂」や「猩便利」というコンビニが元気です。これは店員はいるけれど、セルフレジで精算するコンビニです。店員もいるから、肉まんやおでんなどもあって食べられる。結局レジだけ無人化すればよかったとなれば、日本のスーパーや一部コンビニで採用されているセルフレジ導入という方向性は、間違っていなかったと言えます。

 ガラス張りの無人コンビニは確かに未来感のある店舗でしたが、中国でもリアルな利便性を求めた先には、日本の取り組みと同じ結果になりました。中国と比べて派手さはないですが、日本も捨てたもんじゃない。

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