人手不足なので、実は去年から中学1年生から参加してもらえるようにしたり、女性の希望者がいれば加入していただいたりしています。本来は男性だけで準備する「男祭り」なのですが。今年は女性が3名参加してくれたんですよ。
1年中、頭のどこかで祭りのことを考えている
――やはり少子高齢化の影響が……。それでも、若い方がお祭りのためにわざわざ帰ってくるのは、すごいことだと思いました。
小清水 お盆よりも帰ってくる人が多いとも言われます。1年に1日だけの行事なんですけれども、1年中、頭のどこかで祭りのことを考えながら過ごしているような面もあるんやと思う。
――この白山麓地域は、古くからの白山信仰で知られている地域でもあります。お祭りの話を伺っていても、都会の若者たちよりも、神様の存在をより意識して生活していらっしゃるのではないかと思いました。
小清水 そうですか? 都会の人も、初詣とか行くんじゃないですか。
――人によるとは思いますが、神様を詣でに行くというよりは、家族や友人とのイベント感覚の人が多いと思いますよ。
小清水 ああ、それじゃあ自分らの感覚とはちょっと違いますね。みんなで集まる楽しさもあるけど、お参りに行くのが一番の目的ですから。
秋祭りもそうです。「ニワカ」だって、出た後はまず一回神社に行って、手を合わせてる。そこからがスタート。獅子も、神社に上がって、かしら(頭の部分)をやしろに入れてみんなで手を合わせるというのを必ずやります。すべてが神様ありきですよね。
――秋祭りはこれからも続けていきたいですか?
小清水 もちろんです。正確にはわからないのですが、400年、500年の歴史がある祭りなんだと思うんですよ。苦しい部分や厳しい部分もあるし、いまの時代に合わないところもあるかもしれない。
それでも、子どもの頃から当たり前にあったものなので、祭りのない生活は考えられないんですよ。自分たちの子どもたちにも伝えていくつもりですし、これからもずっと続いていってほしいですね。
取材協力/白山ろくスローツーリズム研究会
写真=山元茂樹/文藝春秋