スコットランド戦での“あのプレー”がスゴかった
ラグビーでは何でも出来る選手のことを「コンプリートフットボーラー」と言うのですが、堀江はまさに「コンプリートフットボーラー」。キックもパスも上手く、ステップもキレがある。当たりも強いし、タックルも良い。2番はスクラムの最前線の真ん中にいますが、そのコントロール能力も高い。さらにラインアウトのスローイングも正確。要はラグビーで必要なスキルを全て高いレベルで持っている。世界を見渡しても、そういう選手はあまりいない。「180cm、104kg」と2番としては世界的に見て決して大きいサイズではありませんが、能力はトップレベルです。
スコットランド戦を振り返ると、前半25分の稲垣啓太のトライにつながるプレーが印象的でした。田村優から受け取ったパスは処理が難しいボールでした。普通であれば、取った瞬間にスコットランドの屈強なタックルを食らって仰向けにされるようなタイミング。しかし堀江はもらった瞬間に体をクルリと翻し、タックルをかわしました。ボールをキャッチする、相手をかわす、そして前に出る、3つのことを同時にしたスゴいプレーでした。「コンプリートフットボーラー」としての能力を発揮したことが稲垣のトライを生んだと言って良いでしょう。
堀江のプレーを支えるのが彼の「落ち着き」。いつも淡々としていて、どんな試合でも落ち着いています。例えば取材陣に「次の相手はいよいよ南アフリカですね」と聞かれても「いや、僕はどの試合も変わらないんで」と返す。メンタルが一定していて、飄々とした感じは頼りがいがあり、チームでの存在感につながっています。
中学校にはラグビー部がなかった
堀江はもともと小学5年生のときに大阪の地元・吹田のスクールでラグビーを始めたそうです(ちなみに堀江の奥さんは小学校の同級生です)。しかし進学した公立中学校にはラグビー部がなく、バスケ部に入らざるを得なかった。その間もラグビースクールには通い続けましたが、本格的にラグビー1本で取り組み始めたのは高校のとき。ただ、堀江が通った大阪府立島本高校はラグビーの強豪校ではなく、彼のいた3年間は一度も花園(全国高校ラグビー)に出ていないんです。