10月から「第4のキャリア」として携帯電話事業に新規参入するはずだった楽天に早くも失望の声が寄せられている。楽天は本格的な商用サービスが始められなかったため、10月中旬から5000名限定の「無料サポータープログラム」を提供し始めたのだが、ユーザーからの不満が殺到しているのだ。
携帯電話事業者として肝心なのは、ネットワークだ。現状の楽天のネットワークは、とても大手3社に並ぶような状態ではなく、ユーザーとしては「つながらない」と実感してしまったのだろう。実際に筆者が都内を歩いてみても、地下から地上に出たり、大通りから一本入ったりしてしまえば圏外になることも多い。山手線で一周している間にも、東京駅周辺や渋谷~品川間など区間によってはしばしば圏外になってしまう。楽天も、マンションの高層階や大きな建物の中心部などで回線が通じにくいケースが多いことを認めている。
加えて、そもそも「接続エラーで全くつながらない」「圏外のままになる」という声もある。楽天の回線を使えるようにする最初の手続きに問題を抱えている可能性が高く、「楽天のネットワークに対応している」とされている指定のスマホを購入しても、ネットワークを使うことができないケースも起っているようだ。このような苦情を受けて、総務省が楽天に改善を要請する事態となっている。
死屍累々の「第4のキャリア」
そもそも、どうしてこのような事態が起ったのか。
本来であれば、楽天は10月から商用サービスを開始し、圧倒的に安い通信プランでNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクに料金競争を仕掛けるはずだった。昨年8月、菅義偉官房長官が「携帯電話料金が高すぎる。4割値下げできる余地がある」と自信満々に発言したのも、楽天が既存3社を脅かすことが前提にあった。