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将来の生活習慣病を約束された状態に……

 しかし、こうした運動ができないと、どんな問題が起きるのだろう。戸田医師は、それぞれの項目ごとに「できない子どもに起き得る問題」を解説する。

「(1)の両腕を真上に挙げられない子どもは、肩甲骨の可動域が悪いので、肩こりや首の痛みを引き起こしやすくなります。(2)は“手首の柔軟性がない”ことを示唆しており、転倒した時に咄嗟に体重を支え切れずに大きなけがを招きかねません。跳び箱に手をついただけで手首を骨折する子どもが最近増えているのはまさにこれが原因です。(3)のしゃがみ込みができない子どもは、足首の可動域が悪いので捻挫や足首の骨折の温床となる。(4)の前屈ができない子どもは、骨盤の可動域が悪いので腰痛の原因に。(5)の片足立ちができない子どもはバランス感覚がよくないので、転倒骨折のリスクを高めてしまいます」

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 しかも、問題はこれだけではない。戸田医師によると「できない項目」が複数に及ぶと、「起きているだけでだるい」「動くだけで疲れる」と感じるようになり、冒頭で出てきた“日曜日のお父さん”のような状態になってしまうというのだ。

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「これは単にズボラに見えるだけでなく、集中力や精神力を低下させ、行動力にも影響を及ぼします。つまり体力だけでなく学習能力の低下にもつながるのです。しかも、この状態のまま大人になると当然のことながら肥満傾向になるので、いずれはメタボリックシンドロームから糖尿病や血管性の疾患を招くことになっていく。つまり、子どものうちから将来の生活習慣病を約束された状態になってしまうのです」

体の前で腕を組んで5秒間しゃがむ

 将来のリスクを下げるには、子どものうちにロコモを克服するしかない。

 たとえば、(3)の「しゃがみ込みができない」というのは、和式トイレが減ったことと、イスに座る生活様式が普及したことで“正座”をする機会が激減したことが影響している、と戸田医師は指摘する。

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「腕を前に伸ばした形でしゃがむ練習をすると、うまくできることがあります。それで5秒間座れるようになったら、次は体の前で腕を組んで5秒間しゃがむ。それもできるようになれば、アキレス腱も伸びてきているので、最後は手を背中の後ろで組んで5秒間のしゃがみ込みに挑戦しましょう」