「黄ばみ・髪の毛・糸くず・ほこり アベNOマスク 1億3000万枚ほとんど全部回収へ 466億円かけて“不要普及”の大混乱」(サンケイスポーツ4月25日)

 なんだこのインパクト。不要不急を“不要普及”と書くあたり、スポーツ紙のうまさが詰まっている。

 でも何でこんなことに?

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安倍晋三首相 ©︎ロイター/AFLO

首相の思いつきに付き合ったあげく……

 同日の一般紙には「早さ重視が裏目」(毎日新聞)、「性急な施策が裏目に」(東京新聞)という視点が並ぶ。

 業界関係者は「短期間で提供しようと、政府や納入サイドが品質チェックをはしょった結果だ。突貫作業はリスクが高過ぎた」と指摘(東京新聞)。

 コロナ対策にはスピードが求められている。「裏目」もあるだろう。しかしまったく次元が違うレベルだったと気づくのがこれ。

《首相の思いつきに付き合ったあげく、検品作業も行き届かずにゴミや汚れが付いた布マスクが政府に納品されるに至ったといえそうだ。》(毎日新聞)

 お、思いつき……。

「毎日新聞」公式ツイッターより

 さらに東京新聞にはある厚生労働省幹部が、

《自分たちも思い付きの方針に振り回された「被害者」だとし「医療や介護の現場など一番必要な所に行き渡っていない。焦ってやったから中途半端な政策になった」》と話している、とある。

 期せずして共通した「思いつき」。もはや政策でもなさそう。

「謎のマスクマン」状態からの朝日へ反撃

 さらに今回の謎のマスク騒動で見えてきたものもある。情報公開がなかなかされなかったことだ。この政権の相変わらずのお題である。

 21日に3社の社名と契約金額がやっと明らかにされ、そして残りの1社「ユースビオ」を27日にようやく公開。SNSではユースビオって何だ? と正体探しが盛り上がる羽目に。昔懐かしい「謎のマスクマン」状態である。ワクワクしちゃうではないか。

※写真はイメージです ©iStock.com

 しかし忘れてはならないこともある。同じマスクでも熱心な情報公開があったこと。4月17日の首相会見でそれは放たれた。

《全国に配布するアベノマスクが批判を浴びていることについて朝日新聞記者が質問したところ、安倍晋三首相(65)が「御社も2枚3300円で販売していたと承知しております」と反撃。高すぎる値段でマスクを売っていると揶揄(やゆ)するような回答に対し、SNSなどで論議が巻き起こった。》(スポーツ報知4月23日)

 朝日新聞社が運営する通販サイト「朝日新聞SHOP」で布マスクを販売していた件のことだった。