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2020/05/31

メンデル遺伝学では説明できない青いバラの発色パターン  

 数々の攻略サイトが様々な花の発色パターンをメンデル遺伝学を使い分析していますが、なぜか青いバラの発色パターンはそれに当てはまりません。「遺伝学では考えられない表現型」なのです。これが第二のナゾです。ユリやヒヤシンスでも、同様に遺伝学的な推測から外れる発色パターンが見られました。 

 青のバラの遺伝型は、ゲーム内の混色と抑制のルールに則ると、黒と予測される遺伝型です。つまり、青のバラだけは、逸脱した発色ルールなのです。   

 おそらくランダム性を高め、81の全ての発色パターンが判明しないとロジカルには到達できない最高難易度とするため、といえるでしょう。逆にユリは簡単な交配からレア花の組み合わせに到達する、優しくするための逸脱と解釈できます。 

 ランダム性はゲーム性を高める要素ですが、なんでもランダムにしてしまうとせっかくの遺伝学ルールから大きく逸脱し、色と遺伝型の対応関係が推測できなくなります。ここでは遺伝学的な推測を邪魔しすぎないよう最小限に、かつ効果的に「ランダム」を潜り込ませるように設計されているようです。 

 このことから第二のナゾは「遺伝学とランダム性のゲームバランスを考慮した結果、遺伝学からあえて逸脱する青いバラの遺伝型が設定された」と答えられます。  

©iStock.com

 青いバラは「不可能なことのたとえ」として使われますし、遺伝子組み換えの青いバラがサントリーで開発されたのも、遺伝学からの「逸脱」として象徴的に映ります。 

 この絶妙なゲームバランスが功を奏したようで、青いバラに効率的に到達するため、すべてのパターンが解明され、できるだけ少ない交配、狭い農地で、高い割合で到達する方法が投稿され、仮説検証され、新しいルートが開拓されていったようです。 

 新たに見つかった新しいルートは小森さんのような絵心のある、有志のプレイヤーにわかりやすく解説されていきます。それはまさに遺伝学の新発見の論文のやりとりや、一般向けのアウトリーチの学問の広がりにも見えます。 

  設計した人はどんな人? ヒントは「白い花の遺伝子」か

 最後に、あつ森遺伝学を設計した人はどんな背景の人だろうか、と想像します。 

 気になったのは、ゲーム内の白い花の遺伝子です。ゲーム内では、白い花と白い花を交配させると紫色の花が4分の1の割合でできることから、白い花の遺伝型はWWとWw、紫色の花の遺伝型はwwであると推測されます(この部分は、具体的なメンデル遺伝の仕組みに関わってくるので、ご興味ある方は生物の教科書か、あつ森の攻略サイトを見てみてください)。

 しかし、リアルの世界では、大抵の場合発色がないことで白になるため、Wwで白が顕性(昔の言葉では優性という)になることは少ないのです。