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 地球温暖化にしてもプラスチックごみにしても、環境問題はとかく極論に走りがちだ。個人のレベルでも業界のレベルでも、あらかじめ用意した自説を曲げず、感情的になる。それでは事は動かない。ごみ問題は、それぞれの国、社会に特有の面もあり、そのうえで世界が協力しなければ解決に向かわない。日本がいま一方的に困った国だというわけでもないが、かといって、こと海のプラスチックごみ問題については「後進国」になるわけにもいかない。予定調和的な物言いで恐縮だが、日本が世界と協調して、いやリードして対策を講じていくことができるよう、市民一人ひとりが冷静に関心を持ち続けることが、やはり大切なのではないか。

レジ袋の有料化はレジ袋の値上げ?

 20年7月からレジ袋の有料化を義務づけることが決まったのは、19年末の国の検討会だった。植物などを原料にしたプラスチック成分を25%以上含む袋や、使い捨てになりにくいと考えられる厚さ0・05ミリメートル以上の袋などの例外はあるが、全国すべての小売店で、レジ袋は原則有料となる。

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 もっとも、レジ袋の有料化は、国が規制するまでもなく、すでに社会に広まっている。京都大学の酒井伸一教授らの調査によると、国内で17~18年に使われたレジ袋は国民ひとりあたり年間約150枚と推定され、08年の時点から半減している。

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 レジ袋1枚の重さを大きめに見積もって10グラム、年間約150億枚とすると全部で15万トン。国内で出るプラスチックごみの総量は年間約900万トンなので、レジ袋のしめる割合は1・7%。レジ袋は身近で目につく使い捨てプラスチックではあるが、プラスチックごみ全体にしめる割合は、ほんのわずかだ。

 また、たとえスーパーなどがレジ袋を無料で配っていたとしても、スーパーはそのレジ袋を無料で仕入れているわけではなく、その費用は商品の価格などにもともと含まれている。レジ袋はむかしから有料だったわけだ。そう考えると、今回のレジ袋の有料化は、レジ袋をあらためて「有料化」し、商品価格とは別にさらに消費者に負担を求める制度だということになる。「有料化」というよりも、むしろレジ袋の値上げであり、「あなたはレジ袋にお金を払っているのですよ」と消費者に意識づける「可視化」の意味合いが強いともいえそうだ。

 レジ袋は使い捨てられやすいプラスチックであり、環境を汚す、とてもやっかいなプラスチックごみだ。したがって、レジ袋を徹底的に減らそうという動きに、もちろん意義はあるだろう。だが、それで安心してはいけない。プラスチックごみの総量にくらべれば、その割合はとても小さいことも知っておいてほしい。ほかにもやるべきことが、たくさんあるということだ。レジ袋の有料化を、プラスチックごみに対する社会の意識を高める象徴として、確実なごみの減量につなげていきたい。