ロウリュサービス。

 あつあつのサウナストーンにアロマ水をかけ蒸気を発生させ、その熱と香りをサウナ室に充満させることで発汗とリラックス作用を促進させる。もはやサウナになくてはならないこのサービスは、北海道の札幌テルメ、エスポが起源といわれている。それを関西で初めて採用し、サービスとして確立させ全国のサウナ施設へと普及させた立役者、それが今回ご紹介する大阪・ニュージャパングループである。

ニュージャパンスパプラザの元祖ロウリュ
ニュージャパンスパプラザの元祖ロウリュ

 関西サウナの歴史を体現する存在であり、会長の中野憲一氏はその生き証人といっても過言ではない。ロウリュ以外にも、日本のサウナに欠かせないさまざまなサービスや設備を開発してきたエポックメーキングな施設なのである。

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伝説は昭和27年竣工の「超高級サウナビル」からはじまった

 今回の記事を書くにあたりニュージャパングループの総本山であり、現存する国内最古のサウナだった難波のニュージャパンスパプラザに触れないわけにはいかない。

建築中のニュージャパンビル
まるで一流ホテルのような玄関ロビー(1960年撮影)

 1952(昭和27)年に地下1階、地上9階の建物として竣工。スパプラザ、カバーナ、レディースサウナの3店が同居する超高級サウナビルだった。水風呂も13度・22度と温度が選べ、「アツアツのサウナ」「キンキンの水風呂」「露天での外気浴」と、ととのうための基本要素がすべて詰まっていた。

 余談だが、私がドラマ版のプロデューサーを務めたマンガ『サ道』の原作者、タナカカツキ氏のサウナ大使任命式もここで行われた。

 だが、関西サウナ史をけん引してきたこの老舗は、建物の老朽化により2019年3月31日、惜しまれつつ閉館してしまった。

梅田のアーケード街に突如現れるオアシス空間

 今回、取材をしたのはニュージャパングループで唯一残る、梅田店。

 JR大阪駅、阪急線・阪神線・御堂筋線の梅田駅から歩いて約10分。大阪ならではの旧き良き飲食店がひしめく阪急東通商店街を進んでいくと、アーケード街の一角に目を引く青いファサードが飛び込んでくる。

大阪駅、梅田駅から徒歩10分。関西出張の宿泊先にもいい
さすが老舗の佇まいの表玄関。看板はすべて欧文。3~5階には併設のカプセルホテルがある