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クレーム対応は「瀕死の母を思い浮かべて…」? 印象を良くする“声の使い方”の秘訣

『督促OL 修行日記』より #19

2021/03/07

source : 文春文庫

genre : エンタメ, 読書, 社会, 働き方

note

 声だって同じだ。

 電話口で聞き惚れるほどいい声で話す人って、なんだかぞんざいに扱えない。あいさつの時やクレーム対応の時でも「声が美人やイケメン」なら絶対有利だ。

 でも残念だけれど、声が仕事道具であるコールセンターのオペレーターでも意識的に声を操作している人は多くない。私はこれを常々、もったいない! と思っている。

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©iStock.com

 だって整形でもしないかぎり顔はそうそう変えられないけど、声だけだったらすぐにでも変えられるのに!

声が与える印象は大きい

 ある日話し方のセミナーに参加していた時、私はたまたまこんな話を聞いた。

「母国語が異なる多人種が暮らす欧米では、相手の表情やしぐさを見て相手の人となりを判断することが多い。しかし、日本語を話す同人種がほとんどの日本では、見た目よりも声のトーンによって相手の印象を決める傾向が強い」

 なんと日本社会で相手に印象を与えているのは、意外なことに「声」→「顔や服装」→「体格」の順番だという説があるという。

 これはあくまで一実験例のようだけれど、言われてみれば確かに、私たち日本人は身振り手振りが大きくないし、日本語のコミュニケーションが洗練されて、ちょっとした言葉の調子で相手の感情を読み取ったりしている気がする。

電話は声が10割

 以前ベストセラーになった本には、声や話の内容よりも顔の表情などの見た目の方が相手の印象をより決定づけると書かれていたけれど、なによりも電話じゃ見た目で勝負することはできない。

 声を綺麗に出すように心がけること、それに話す内容や言葉遣いに加えて、声を高くするか低くするか、柔らかくするか硬くするかを意図的に変えるだけでも、相手の反応はかなり違ってくる。

 人は見た目が9割かもしれないけれど、電話は声が10割なのだ。

【前編を読む】「申し訳ございません」で逆上!? クレーム対応スタッフが身につけた“正しい謝り方”とは

督促OL 修行日記 (文春文庫)

榎本まみ

文藝春秋

2015年3月10日 発売

クレーム対応は「瀕死の母を思い浮かべて…」? 印象を良くする“声の使い方”の秘訣

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